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独居であり、かつ認知症のある親の介護を、遠隔から(なんとか)やりくりしているケースがあります。そうしたケースについての簡単な調査(上妻・正野, 2016年)があります。簡単な調査ではあっても、同じ状況にある人には意味がある可能性もあり、こちらで紹介します。
結論からいうと、実際に遠隔から介護している人々は(1)血縁にある人が主たる介護者になっていること(2)要介護者との関係性が良いこと(3)介護する意欲が高いこと(4)週に1〜2回の訪問をしていること(5)各種の社会資源を活用していること、がわかりました。
(5)の社会資源の中身については不明なのですが、各種の介護サービスはもちろん、ご近所との関係性なども活用しているものと考えられます。なお、この調査では、要介護者の自宅と、自分の自宅との距離は「車で1時間未満」が24%と最も多かったのですが「車で2時間以上」という人も21%でした。
この調査が心強いのは、一般には厳しいとされる認知症の介護であっても、遠距離から、独居であっても(なんとか)こなせている人々が現実にいるということでしょう。相当、難易度の高い介護を、社会資源を上手に活用することで、まわしている人がいるのです。
認知症でなかったり、独居でなかったりする場合は、独居の認知症よりは難易度が低いはずです(もちろん、そうでないケースもあると思いますが)。そうした介護がうまく進められていない場合は、なにか、介護の運用上に課題があるとも考えられるわけです。
そして、社会資源の有効活用のみならず、先の(1)〜(4)のような前提が必要になります。ただ(1)〜(4)の中でも(2)要介護者との関係性については、過去の関係性はもちろん、要介護者の性格(認知症の影響で変わってしまうことも多い)にもよるところがあるので、不確定な要素になってしまいます。
遠距離で介護をしていると「とても、やりきれない」と感じることが多くあります。そうした時こそ、一人で悩んでいないで、同じように遠距離介護に悩む人々の話をきくべきだと思うのです。そのためにこそ、家族会を活用してもらいたいです。
家族会では、今回、ここで紹介したケーススタディーよりも、もっと具体的な話を聞くことができます。自分の置かれている立場と、もっとよく似たケースも見つかるかもしれません。ぜひ、ケアマネに相談しながら、自分にあったケーススタディーを探してみてください。
※参考文献
・上妻 絵理, 正野 逸子, 『独居認知症高齢者が在宅で過ごすことを可能とする要因 : 主たる介護者との関連性』, 産業医科大学雑誌 38(1), 107, 2016-03-01
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