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社会福祉に関連する話題の匿名記事(読んでおくべき)

社会福祉に関連する注目・話題の匿名記事

話題になっている匿名記事2本

匿名でブログ記事が投稿できる「はてな匿名ダイアリー」は、議論を巻き起こすきっかけになるものが多くアップされます。そうした中で、ここ1ヶ月のうちに、2本、社会福祉関連で、非常に大きな話題となった投稿がありました。

どちらも「子育て」に関するものですが、介護という側面からも、日本の社会福祉のありかたについて考えるためにも読んでおきたいものなので、こちらで紹介したいと思います。とはいえ、匿名ですので、内容を、そのまま事実であるとすることはできない点については注意してください。

匿名記事『保育園落ちた日本死ね!!!』(2016年2月15日)

http://anond.hatelabo.jp/20160215171759

この記事は、保育園の応募に落ちて、とても仕事を続けられないという嘆きです。国会でも話題になり、NHKや新聞各紙でも取り上げられたので、多くの人に読まれました。以下、記事の一部を引用します(改行位置はKAIGO LABが改変)。

何なんだよ日本。一億総活躍社会じゃねーのかよ。昨日見事に保育園落ちたわ。どうすんだよ私活躍できねーじゃねーか。(中略)

不倫してもいいし賄賂受け取るのもどうでもいいから保育園増やせよ。オリンピックで何百億円無駄に使ってんだよ。

エンブレムとかどうでもいいから保育園作れよ。有名なデザイナーに払う金あるなら保育園作れよ。どうすんだよ会社やめなくちゃならねーだろ。ふざけんな日本。

まず言葉づかいは、決して褒められたものではありません。しかし、介護という側面からも、これはどうしても無視できない主張です。なぜなら、この記事の投稿者と同じように、介護をしている人の中にも、仕事との両立に苦しんでいる人が多数いるからです。

たとえば、要介護1、2では、家事や買い物といった生活支援が受けられなくなることが(ほぼ)決まっています。こうした介護サービスが受けられない場合、誰が、家事や買い物をするのでしょう。仕事をしながら、可能でしょうか。

日本の社会福祉財源は、枯渇しつつあります。これ以上の無駄使いは本当にできません。また、公務員の総人件費抑制や、高すぎる地方議員の人件費抑制は、どうしても必要です。この状況でも、地方議員の給与を上げようとしている自治体もあるのに驚きます。

匿名記事『障害児産んだら人生終わったから、日本死ねっつーかもう死にたい』(2016年2月29日)

http://anond.hatelabo.jp/20160229202916

数ヶ月前に障害児を出産したという母親からの投稿です。本当に苦しい状態にあるのですが、しかし、社会福祉はこれを助けてくれません。以下、記事の一部を引用します(改行位置はKAIGO LABが改変)。

私は数ヶ月前に第一子を産んだ。私20代、夫30代。二人とも正社員だけど給与は高くない。まあごく普通の夫婦。共働きならなんとか子育てしながらやっていけると思った。だけど、生まれたのは口からミルクを飲むことも息をすることもままらない重度の障害児だった。

医師や保健師からは、こういう状態の子供を産んで働いている母親はいないと言われた。人工呼吸器をつけていたり、鼻に入れたチューブから栄養を取っている子はどこの保育園でも預かってもらえない。

みんな子供の介護をしながら、手当をもらって暮らしている。それが当たり前だって。手当といっても給与と比べればわずかな額だ。片働きになれば、今の家には住めなくなるし相当切り詰めた生活をしなければならない。次の子を持つのも難しい。だったら、死のうかなって思ったよね。子供と一緒に。

そもそも、介護に関わっていれば明らかなとおり、誰もが障害者になる可能性があります。というよりも、誰もが死ぬまでにはなんらかの障害を持つことになります。そうなると、介護が必要になります。

本来は、社会が介護の責任を担っていくとされています(介護の社会化)。しかし、いまでも変わらず家族がその負担を一身に受けているというのが現実です。仕事との両立など、とてもできないというケースも多数あります。

障害のある家族がいても、普通に暮らしていくことができる社会を築くという理想を特に「ノーマライゼーション」と言います。日本は、しかし「ノーマライゼーション」からむしろ遠ざかっているように感じます。

マスコミの仕事、私たちの仕事

こうしたことは、本来は、マスコミが強く主張していくべきことです。特にテレビは、限られた電波を割り当てられており、新たな事業者の参入を許さない独占状態にあるため、公的な側面の強い存在です。そこでは、芸能人の不倫ネタや、お笑いクイズ番組などよりも、きちんと社会問題を扱ってもらいたいです。

とはいえ、マスコミを責めているだけでは、おそらくは変わりません。私たちとしても、できることをしていくべきでしょう。それはまず、知ることです。日本の社会福祉に興味を持ち、問題点を把握し、そうした問題点に対する政権の対応を評価するのが、国民の仕事です。

ただし、こうして明らかになった問題点を、短絡的に、政権への攻撃材料として「利用」するのは、少し慎重になったほうがよいと思います。既に、政治的な目的を持っている団体が、これらの匿名記事をベースにして政権の批判を行っていますね。そうした団体に賛同するときは、その団体が、他にどういう目的を持っている団体かを確認してからにしたほうがよいでしょう。

そもそも、課題が表面化しただけで政権交代が起こってしまう国には、課題の解決能力が育ちません。繰り返しになりますが、私たちは、いまの政権が、こうした課題にどのように対応していくのかに注目しないとなりません。その対応力に不満があるときは、投票によって、意思を表明すればよいだけです。ネットで個人が発信できる時代に、無理に、どこかの団体に所属する必要はありません。

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