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介護者(ケアラー)を支援する法律案がある。社会保険について、いまいちど確認しておこう。

介護者(ケアラー)を支援する法案

要介護者だけでなく、介護者(ケアラー)だって助けて欲しい!

『介護者(ケアラー)支援の推進に関する法律案(仮称)』というものをご存知でしょうか。これは、今の日本にある法律ではなくて、ある団体が国に対して「法律案」として提出し、法制度化を目指しているものです。

ある団体とは、介護をしている家族(介護者)や、そうした介護者を応援する人たちが集まって発足した「一般社団法人日本ケアラー連盟」です。大学教授やNPOの代表が代表理事となって、介護者の抱えている問題を解決することを目指しています。

介護業界は、基本的に、要介護者のことを第一に考えています。それはそれで大事なことですが、要介護者を介護する現役世代の家族にも、支援が必要であることは明らかです。

特に、日本の介護は、現役世代がおさめている介護保険によって成立しています(賦課方式といって、現役世代が、高齢者世代を支えている形が、日本の社会福祉の特徴)。現役世代が疲れてダメになってしまったら、介護業界自体が成立しないのです。

介護離職が続けば、それだけ、日本の介護における財源がなくなっていきます。実際に、介護保険で支払われる9割(厳密には所得により異なる)のサービス費用は、現役世代が支払う介護保険料と税金です。

『介護者(ケアラー)支援の推進に関する法律案(仮称)』の中身

『介護者(ケアラー)支援の推進に関する法律案(仮称)』は、特に介護者が、仕事や学業などの日常生活と介護を両立できるよう、社会全体で支えていくことを目的としています。

法案の中身としては、国や自治体、介護者を雇用している企業等の責務を規定したり、介護者自身の生活を専門職の関わりなどによって適切に支援していくことが盛り込まれています。

より具体的には、介護者の支援のための人材確保、その教育や啓発活動、介護者に対する経済的支援などが含まれています。話題となっている「介護離職ゼロ」「ヤングケアラー問題」「ダブルケア問題」といったことに、正面から取り組む法案です。

もしかしたら、こうしたことは既に、今の介護保険制度でカバーされているという誤解もあるかもしれません。今一度、介護保険制度について、少しだけ復習しておきたいと思います。

民間保険と社会保険の違いとは?

まず、保険は民間保険と社会保険に分けられます。民間保険は、被保険者から集めた保険料を運用し、保険のカバーする事故などがあった際に、保険金やサービスが提供されるものです。

例えば、自動車保険に入っている人は、保険料を毎月収めているはずです。そして交通事故をおこした際に、これが「保険事故」として認定されれば、保険会社から保険金がおりるという仕組みです。

しかし、車を運転しない人は、自動車保険に入る意味がありません。自動車事故を起こすリスクがないわけですから。つまり、民間保険に加入するかどうかは任意(自分の状況に応じて、自分で決められるもの)なのです。

これに対して、国民が特定の条件(年齢や職業)によって「強制的に加入させられる」のが社会保険です。日本では医療保険、年金保険、雇用保険、労災保険に加えて介護保険の5つが、この社会保険に該当します。

社会保険は、国民から集めた保険料に加えて、公費(税金)が、特定の割合で使われているということも特徴です。社会保険は、病気やケガ、失業、労働災害、介護など、国民の誰もが持っているリスクなので、任意ではなくて、強制加入になっているのです。

介護保険制度について、いまいちど振りかえってみる

身内に介護が必要な状況になったら、真っ先に「介護保険の利用」を考えるべきです。しかし、実はこの介護保険制度について十分理解している人は多くはありません。理由は簡単で、それが必要になるまで、知る必要のないものだからです。

介護保険制度は「要介護状態」という「保険事故」が起きた際に、その本人が、日常生活をおくるために必要な介護サービスを、わずか1割(厳密には所得により異なる)の自己負担で受けられるというものです。

具体的には、入浴・排泄・家事を手伝ってもらうためのヘルパーを派遣してもらったり、デイサービスへ通ったり、施設へ入所したり、車イスのレンタルなどのサービスを使うことができます。

つまり、これはあくまでも「保険事故」の状態にある要介護者本人のための社会保険なのです。ですから、この制度では、本来、介護をする家族が、介護疲れを癒すため、休息を得るために使える保険ではないのです。

ここで、考えるべきことがあります。要介護者の介護をするというリスクは、国民であれば誰にも起こり得ることだという事実です。であれば、本来は、介護者のための社会保険があってもよいのです。6番目の社会保険ですね。

だからこその『介護者(ケアラー)支援の推進に関する法律案(仮称)』

日本には、介護者(ケアラー)を支援する法律がありません。だからこその『介護者(ケアラー)支援の推進に関する法律案(仮称)』です。冒頭のケアラー連盟のような団体は、6番目の社会保険の実現を目指しているわけです。

現在介護をしている人はもちろん、将来、親の介護をする可能性があれば、こうした「介護者支援法」について考えてみるべきだと思います。また、こうした法案を真剣に検討している政治家の応援も考えるべきでしょう。以下、ご参考にどうぞ。

一般社団法人日本ケアラー連盟

http://carersjapan.com/index.html

介護者(ケアラー)支援の推進に関する法律案(仮称)

http://carersjapan.com/low/images/carerslow20150621.pdf(PDF)
 

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