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警察犬が、最近では、認知症によって行方不明になる高齢者の捜索の場面でも活躍しているようです。以下、西日本新聞の記事(2016年1月21日)から、一部引用します。
人の1億倍ともいわれる嗅覚を事件や事故の捜査に生かす警察犬が、活動の場を広げている。認知症で行方不明になる高齢者の捜索要請が増えていることもあり、全国での出動件数は、警察庁によると2014年は過去10年で最多の9329件に上った。一方で警察犬の頭数の減少が指摘されている。犬の特長を生かした捜索現場を取材した。(中略)
活動の場が広がる警察犬だが、頭数は減少傾向にある。全国的にみると、09年をピークに減少傾向にあり、14年には過去10年で最少の1351頭になった。日本警察犬協会(東京)は「嘱託犬を育てようとする人が減っていることが大きい」と指摘する。嘱託犬に飼育費の公的補助はなく、出動した際の謝金も十分でない。
俗に「徘徊」と言ったりもしますが、それはあまり正しい言い方ではありません。「徘徊」とは、本来「目的もなく、ウロウロと無意味に歩き回ること」を意味している言葉ですが、認知症の人がいなくなるときは、そこに何らかの理由(子供を探しにいく、大事な会議にいくなど)があるからです。
とはいえ、そうした理由は、客観的には間違っていることも多く、さらに、そうして出て行った先で道がわからなくなってしまうことが多いのです。そうして、行方不明者となり、家族から捜索願が出されるというのが、問題を構成している流れです。
こうした「徘徊」によって行方不明となる高齢者の数は、2013年のデータでは、10,322人でした。これは日本における行方不明者の12.3%を占めています。
調査されている年が違うので正確ではありませんが、2013年の10,322人という認知症の人の行方不明者数と、2014年の9,329件という警察犬の認知症の人の捜索件数の近さに驚きます。これは、ほとんどすべての認知症の人の捜索願に対して、警察犬が動いているということです。それだけ、実績が出るのでしょう。
警察犬の仕事として、新たに、認知症で行方不明になる人の捜索が加わったわけです。それ以外にも、昔から行ってきた各種犯罪の操作でも蛍雪件の仕事があります。さらに、災害の現場や、入国審査の現場などでも、警察犬は活躍しています。
介護問題が日本で爆発する2025年(団塊の世代が75歳を迎える)には、今よりもずっと多くの警察犬が、認知症の行方不明者捜索のために必要となるでしょう。そのときまでに、警察犬は増えているのでしょうか。
先のニュースによれば、警察犬を育てたいという人が減っているということと、警察犬の飼育には補助も出ない(ボランティアである)ということです。これで、警察犬が増えるとも思えないので、その分は、どうなっていくのでしょう。色々と気になりますね。
※参考文献
・西日本新聞, 『警察犬、広がる活動の場 高齢者の要請が増加』, 2016年1月21日
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