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女性の晩婚化により出産年齢が高齢化しています。これにより、ダブルケア(子育てをしながら、親の介護を同時にこなす)をする母親が増えています。この最新の調査結果がソニー生命により発表(2015年12月22日)されています。以下、プレスリリースから一部引用します。
全国の大学生以下の子どもを持つ母親1,000名(全回答者)に、“ダブルケアとは『子育てと親・義親の介護が同時期に発生する状況』である”と説明をし、自身のダブルケアの状況について聞いたところ、「現在ダブルケアに直面中」は3.3%、「過去にダブルケアを経験」は4.0%、「現在直面中で、過去にも経験がある」は0.9%で、以上を合計した経験率は8.2%となりました。また、「数年先にダブルケアに直面する」は14.4%と、今後、ダブルケアを経験する人が増加していくことがうかがえます。
数年先にダブルケアを経験すると答えた母親を入れると、ダブルケアは、およそ5人に1人(22.6%)の母親が直面することになる問題ということです。子育てだけでも大変なのに、そこに介護も加わるとなると、その負担は相当なものになります。
ダブルケアが、母親にとって大きな負担であることは、まず、しっかりと認識されなければなりません。それだけでなく、ダブルケアは、日本の社会にとっても非常に大きな問題です。色々と考えられますが、ここではネガティブな影響を3つとりあげてみます。
子育てだけなら、または介護だけなら、仕事との両立も可能かもしれません。しかし子育てをしている状態で、介護まではじまると、仕事との両立は(まず)不可能になるでしょう。ダブルケアの問題とは、そのまま介護離職の問題になります。労働力不足の日本から、さらに労働力が失われます。結果として、国の税収も下がります。
次に、ダブルケアをしていると、本当はもう1人子供が欲しいと思っても、あきらめる母親が増えるでしょう。時間的な余裕がなくなるだけでなく、金銭的にも不安が大きくなるからです。このように、ダブルケアの問題は、少子化の問題にもなります。現役世代が高齢者を支えるという形(賦課方式)での社会福祉制度を作っている日本において、少子化は、将来の社会福祉の悪化に直接つながります。
ダブルケアをしていると、経済的に苦しくなり、世帯の収入があっても、それは消費ではなくて貯蓄に回るでしょう。また、周囲にダブルケアが増えてくると「うちも危ないかも」と考える人も増え、それがまた消費の抑制につながるでしょう。結果として、日本の消費が大きく抑制され、日本の景気が悪化することも考えられます。それがまた、国の税収減につながります。
※参考文献
・ソニー生命株式会社, 『ダブルケアに関する調査 2015』, 2015年12月22日
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