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一般に、高齢者になると、服用しなければならない薬の数も種類も多くなります。そうして、飲まなければならない薬が増えると、当然、飲み忘れや、飲み過ぎのリスクが高まります。飲み忘れによって無駄になる薬の費用は、年間で約500億円にもなると言いますから、これは、個人的な問題というよりも、社会的な問題です。
さらに、高齢者は、肝臓や腎臓の機能が低下しています。これは、身体が薬を分解したり、それを体外へ排出する能力が衰えている(薬が体内にとどまる時間が長い)ということです。こうした点に配慮しないで多数の薬を飲むと、思わぬ薬の副作用につながります。
味がわからなくなる、めまいがする、眠れない、尿がでないといったことは、もしかしたら、薬のせいかもしれません。素人判断はできないのですが、病院にいくほどかどうか判断に迷うとき、訪問薬剤師が頼りになります。
超高齢化社会を迎えている現在、薬剤師の仕事は、薬局から介護現場へとシフトしてきています。医師は、薬をどんどん増やす傾向があるのですが、薬剤師はむしろ、副作用などの視点から、薬の「引き算」ができる存在です。
特に、認知症や軽度認知障害のある高齢者は、飲むべき薬の管理については、非常に危ない状態になります。しかし、ヘルパーがこれを指導できるかというと、法的にできない部分もあったりして、対応に穴が生まれます。
訪問薬剤師は、いつ、どういう薬を、どれだけの量を飲まないといけないかを薬学的に認識しているだけではありません。要介護者の状態を確認して、服薬を止めるべき薬を確認したり、要介護者の飲み込む力をみて、薬の形状を変えたりと、現場にも様々な能力を発揮します。
市販の風邪薬や、健康食品などと、もらっている薬の「飲み合わせ」が不安という場合などは、訪問薬剤師に相談すべきことです。
もちろん、自分で薬局に行って、必要な薬をもらってくるといったことができない人にも、訪問薬剤師は大きな力となります。さらに、薬にかかっている費用を下げたいといった要望にも、その可能性の検討段階から検討してくれます。
ケアマネに相談するのが早いです。また、かかりつけの医師がいたら、そちらにお願いしてもよいでしょう。最終的には、薬剤師から、ケアマネと医師に連絡が行くのが普通なので、どちらでも問題ありません。
料金は、まず薬については、薬局と同じです(健康保険;1~3割の個人負担)。訪問してもらう場合は「在宅患者訪問薬剤管理指導料」という(長い)名目の費用が別にかかります。これは、要介護認定を受けている場合、在宅で、500円程度になります(1割負担の場合)。
※参考文献
・厚生労働省, 『在宅医療における薬剤師業務について』
・日本薬剤師会副会長/山本信夫, 『在宅医療における薬剤師の役割と課題』
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