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日本の出生数が、予想を超えて下がっていることがニュースになっています。ある意味で当然の結果なのですが、色々と考えないとなりません。まずは以下、日本経済新聞の記事(2019年10月7日)より、一部引用します(段落位置のみKAIGO LABにて修正)。
日本の出生数が急減している。1~7月は前年同期に比べて5.9%減り、30年ぶりの減少ペースとなった。団塊ジュニア世代が40代後半になり、出産期の女性が減ったことが大きい。2016年に100万人を下回ってからわずか3年で、19年は90万人を割る可能性が高い。(中略)
日本総合研究所の藤波匠氏は「団塊ジュニアの出産期の終わりを映している」という。1971~74年生まれのこの世代は、19年にはすべて45歳以上になる。18年10月1日時点の人口推計によると、日本人の女性は40歳代の907万人に対し、30歳代は23%少ない696万人、20歳代は36%少ない578万人。出産期の女性が大きく減っている。(後略)
日本の社会福祉は、若い現役世代が、年老いた高齢者世代に対して仕送りをするという賦課方式(ふかほうしき)を採用しています。こうして子供が生まれない社会が出現してくると、仕送りされる金額が下がっていくことは必至です。
まず、年金が厳しくなることは避けられません。年金をもらえる年齢が上がっていき、もらえる金額は確実に下がります。医療や介護が必要になった場合の自己負担割合は上がります。これは、もはや避けられない国難であって、多くの人が厳しい老後を押し付けられることになるでしょう。
結果として、社会福祉の多くが立ち行かなくなります。そうした未来を予言しているのが、子供が生まれないということです。困ったことに、そのペースは予想を上回っています。今から対策を打っても、もう間に合わないというのが現実です。
このまま行くと、子供の数は極限まで減ってしまいます。年金のみに依存した生活ができないのは当然です。しかし、条件の良い仕事ができる高齢者は少数でしょう。そうなった場合、高齢者は生きられない社会が登場してしまいます。
道端で、高齢者が亡くなっているような状態が普通の国になりかねないのです。私たちは、そうしたハードランディングを避けられるでしょうか。ハードランディングを避けるために必要な方策は、どれも、かなり大きな構造改革を必要とします。そうした構造改革の多くは、既得権者にとってネガティブなものです。
富裕層を狙い撃ちにするような増税のような、既得権者にとってネガティブな構造改革が、本当に進められるでしょうか。それが進められた場合、富裕層は日本に残るでしょうか。本当に難しいです。個別には、私たちはハードランディングに備えて、貯蓄することくらいしかできないのかもしれません。
※参考文献
・日本経済新聞, 『出生数90万人割れへ 19年、推計より2年早く』, 2019年10月7日
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