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太もも(大腿)の筋肉繊維の数は、20代では約65万本あるのに対して、80代では約32万本と、20代の半分以下になることが知られています。また、足の裏でプレートを押し出す力(屈伸展パワー)の測定においては、20代と比べて、80代では約35%にまで低下してしまいます(近藤, 2010年)。
高齢者になると、歩行速度が落ちたり、歩幅も小さくなったりします。そうしたことがきっかけで転倒し、要介護状態になってしまうこともあります。なとか、足の力を維持して、少しでも健康寿命を長くしていく必要があるでしょう。
介護業界では、足の筋肉の衰えは、決定的なリスクとして認識されています。とにかく足がダメになると、身体の他のところも衰えが止まらなくなり、一気に寝たきりになる人もいるようです。介護業界にはそうした常識があっても、一般には、足の筋肉の話は、そこまで深刻に考えられてはいないかもしれません。
足の筋肉の衰えを感じたら、先送りせず、早めにリハビリなどで対応する必要があります。足の筋肉の衰えは、全身の衰えに直結しています。例えば、ふくらはぎの筋肉は、第二の心臓と呼ばれているように、重力に逆らって、血液を心臓まで戻す役割があります。
「様子をみる」ということは、高齢者のことについては、命取りになる可能性が高まります。ここで先送りはしないことが、とても重要です。少しでも危ないと思ったら、医師などの専門家に相談する必要があります。
親のことであれば、最近、腰が曲がってきたとか、歩く時の速度が遅くなったとか、そういったことが専門家に相談するきっかけになります。そうした観察をしていたのに、専門家に相談しないと、あとで後悔することになります。後からでは、元に戻らない可能性も高いからです。
親は、自分が衰えてきていることを、子供には正直に伝えないことも多いのです。子供に心配をかけたくないのと、子供には強がっていたいといった心理も影響しているでしょう。自宅で転んで要介護になるケースも多数あるのですが、自宅で転んだということを子供に伝える親は意外と少ないのです。
しかし、足の衰えは決定的なリスクになります。栄養を管理したり、筋トレをしたりしながら、少しでも衰えを抑制しないと、すぐに要介護状態になってしまうものです。どうしても、衰えが見えてきたら、プロによる(リハビリの)支援が必要になります。
とにかく、正確な親の状態というのは、子供はなかなか把握できないと認識してください。その上で、親の衰えを観察しつつ、筋力の維持のための支援をしていく
必要があります。先送りや放置では、大変なことになるのです。
※参考文献
・近藤勉. (2010). 『よくわかる高齢者の心理(改訂版)』, ナカニシヤ出版
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