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その「もの忘れ」は大丈夫だろうか

その「もの忘れ」は大丈夫だろうか

認知症を疑うことが増えてきた

日本が高齢化し、認知症に関するニュースもよく流れるのようになりました。結果として「もしかしたら、自分も認知症なのではないか?」「もしかしたら、自分の親は認知症なのではないか?」という具合に、日常的に、認知症を疑うことも増えているはずです。

ただ、老化にともなって「もの忘れ」が増えるのは普通のことです。では、こうした普通の「もの忘れ」と、認知症を疑う必要のある「もの忘れ」には、どのような違いがあるのでしょう。簡単な見分け方はあるのでしょうか。

例えば、よく「もの忘れ」をするようになったから、メモを持ち歩くことにしたとします。このメモを無くしてしまい、あたふたするのは、老化にともなう普通の「もの忘れ」のん可能性が高いものです。これに対して、メモを持ち歩いていること自体を忘れてしまう場合は、認知症の可能性があります。

健康な「もの忘れ」、危険な「もの忘れ」

こうした健康な「もの忘れ」と危険な「もの忘れ」について、簡単な表にまとめている書籍があリます(近藤, 2010年)。この書籍より、以下、その表を引用します。とても参考になるものです。

健康な高齢者
認知症の高齢者
体験の一部を忘れる
(朝食に何を食べたかな?)
全体を忘れる
(朝食を取ったことを忘れる)
忘れていることを自覚している
物忘れがひどいですかーひどいです
後になって思い出す
きっかけを与えられると思い出す
忘れていること自体を自覚していない
物忘れがひどいですかー大丈夫です
後になっても思い出せない
きっかけを与えられても思い出せない
見当識あり
(日にちと場所、家族の名前が言える)
見当識が失われる
(日にち、場所、家族の名前が言えない)
日常生活に支障はない 人の手助けが必要、放っておけない
単なる老化現象 脳に病変がある
少しずつしか悪くならない どんどん悪くなっていく

曜日感覚について知っておきたいこと

上の表では、日にちがわからないと、認知症の可能性があるということになっています。ただ、高齢者の場合は、曜日感覚を失っていることが普通にあるので、少し注意が必要かもしれません。

現役世代は、曜日で動いているので、今日が何曜日なのかは把握しているものです。しかし高齢者になって、仕事をほとんどしなくなっている場合は、曜日の感覚を失うことも普通です。ただ、今月が何月であるかわからないとか、季節までわからなくなってしまう場合は、やはり、認知症を疑う必要があるでしょう。

日にちに関する部分だけでも、どちらにも考えられるように、これらは、あくまでも手早く簡単に判断することを支援する知識です。実際には、専門の医師から判断されないと、本当のところはわかりません。今回ご紹介したようなものは、あくまでも参考知識としてください。

※参考文献
・近藤勉. (2010). 『よくわかる高齢者の心理(改訂版)』, ナカニシヤ出版

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