KAIGOLABの最新情報をお届けします。
歩行中の高齢者の交通事故は、冬場に高まり、夏場に向かって減っていくことがわかっています。時間帯でみると日没後の交通事故が増える傾向にあることから、日照時間との関係性が指摘されています。以下、朝日新聞の記事(2019年9月12日)より、一部引用します。
10~12月は交通事故で死亡する65歳以上の歩行者が多い――。秋の全国交通安全運動(9月21~30日)を前に、警察庁が2014~18年の5年間に起きた事故について分析したところ、こんな傾向が明らかになった。特に日没の前後1時間(薄暮時間帯)に事故に遭った人が目立ったという。(中略)
警察庁幹部は「日が短くなっていく環境の変化に、歩行者や運転者の気持ち、行動が追いつけていない可能性がある」と指摘。歩行者に反射材の利用を、運転者に前照灯の早めの点灯と上向き点灯(ハイビーム)の有効活用を呼びかけている。
車を運転する機会のある人であれば、高齢者がふらっと道路に出てくる可能性を警戒する必要があります。もちろん、高齢者自身も気をつける必要があります。高齢者の場合は「これまで大丈夫だったから」という気の緩みが怖いのです。
高齢者には、長年の経験があります。そして、少なからぬ高齢者は、これまで、大きな事故に巻き込まれることなく生きてきたはずです。しかし、長期間、大丈夫だったという経験は、油断の原因になります。老化を甘く考えてしまう可能性もあるでしょう。
老化とは「これまで大丈夫だったことが、だんだんと大丈夫ではなくなる」ということでしょう。事故で命を落としてしまう高齢者は、そうした老化の現実を認識する前に、事故に巻き込まれてしまったと考えることもできると思います。誰にでも起こりうることなので、本当に警戒する必要があります。
もちろん、これは、10月だけに注意すればよいという話ではありません。ただ、注意を強めるきっかけとして、統計的に歩行中の高齢者の事故が増える10月は、ちょうどよいと思います。まだであれば、今日あたりにコミュニケーションをとって、注意喚起をしてもらえたらと思います。
同時に、自動車メーカーや道路関係の技術を開発する人々は、なんとか、この問題の解決に向けた技術の実用化を急いでもらいたいです。ただ、自動車のセンサー技術が発達したとしても、自動車が止まるまでには、それなりの距離が必要なので、ブレーキが間に合わない可能性もあります。
本当は、道路にセンサーが付いていて、どこに歩行者がいるのかを中央集権的に把握し、その情報に、各自動車がアクセスするような、より大掛かりな仕組みが必要なのかもしれません。
※参考文献
・朝日新聞, 『高齢者の歩行、10月から特に注意! 交通事故死が顕著』, 2019年9月12日
KAIGOLABの最新情報をお届けします。