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介護相談窓口の発展と、その限界を超えるために

介護相談窓口の発展とその限界を超えるために

介護相談窓口の発展

大手企業においては、介護相談窓口が設置されているところが多くなっています。人材難の時代にあって、従業員に介護離職されてしまうと大変なことになるので、この流れは当然のものと言えるでしょう。ただ、こうした介護相談窓口は、その会社の従業員でないと利用できないという難点もあります。

そうした中、横浜銀行が、会員向けに介護相談窓口のサービスを開始するというニュースがありました。定年退職している高齢者でも利用することができるため、これまでの流れとは少し違った方向での発展になります。以下、日本経済新聞の記事(2019年9月17日)より、一部引用します。

横浜銀行は17日、介護大手のツクイと提携し、同行の会員向けに介護相談窓口を設けると発表した。インターネット上でツクイの介護専門家が相談に応じる。新たに会報誌「クラブアンカー通信 ようそろ」も創刊し、健康や介護、文化などの情報を発信する。(後略)

銀行業務も厳しい時代に突入しており、競合との差別化のためにも、こうしたサービスが必要になるのでしょう。同時に、これからは、どこの銀行でも、介護相談窓口が設置されていく方向で、日本の社会は発展していきそうです。

介護相談窓口の限界

この流れは、日本全国で、介護相談窓口が乱立するところまで、止まらないでしょう。それはそれで、日本にとって良いことではあります。同時に、ここには限界もあり、今後は、その限界をどのように乗り越えていくのかというところに、競争の現場が移って行きそうです。

介護相談窓口の限界とは、それは結局、ほとんど利用されないということです。もちろん、介護相談窓口によって救われる人もいることは事実です。ただ、介護に限らず、何かを相談する場を設けたとしても、それだけでは、その場は、ほとんど活用されないのです。この背景には、何があるのでしょう。

人生になんの悩みもないという人はいないでしょう。では、自治体などが設置している人生相談窓口のようなものを活用したことがある人は、どれほどいるでしょうか。私たちは、悩みがあるからといって、相談窓口を利用するわけではないのです。

私たちは、人生の悩みを打ち明ける相手が誰であるかを気にします。つまり、大事なことであればあるほど、その相談する相手は慎重に選んでいるわけです。つまり、介護相談窓口に限らず、あらゆる相談窓口の限界は、相談する相手を選べないということです。

お節介の力が必要になる

とはいえ、こうした相談窓口の向こう側にいる人々はプロフェッショナルです。ですから本当は、相談することがあれば、こうした相談窓口は活用した方が良いのは明白です。たまたま、相性のよくない担当者に出会うこともあるでしょうが、根気よく探せば、自分に合っている相談相手が見つかるものです。

この問題は、かつて、高齢者が引きこもりのようになってしまう問題の解決に関する記事『高齢者の「閉じこもり」を解決するための3つのステップ』で指摘したことと、とてもよく似ています。鍵となるのは(1)相談を必要とする人を特定し(2)誘い出し(3)適切な場に繋ぐという、言わばお節介な支援です。

引きこもりの場合も同じなのですが、ある意味で(1)相談を必要とする人を特定することと(3)適切な場を作ることはできるのです。問題は、相談を必要とする人を、適切な場に向けて(2)誘い出すことができるか、という部分です。

多様な介護相談窓口は、絶対に必要です。同時に、そうした場を作ることは、問題の解決に向けたステップの1つにすぎないということも認識する必要があります。場づくりも大事ですが、その場を活用してもらうためには、どうしても、誘い出しというステップ、すなわちお節介の力が求められるのです。

※参考文献
・日本経済新聞, 『横浜銀、会員向けに介護相談窓口 ツクイと提携し』, 2019年9月17日

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