閉じる

駐在員から見れば、日本は収入と教育で最下位

駐在員から見れば、日本は収入と教育で最下位

外国人として母国を離れて暮らすということ

外国人の駐在員として母国を離れて暮らすということは、母国とその外国を相対的に比較しながら生きるということでもあります。結果として、それぞれの国の強みや弱みが明らかになり、国とは何かということに関する理解が深まるものです。

そんな駐在員たちが見た、世界の国々の環境評価を、イギリスの金融機関であるHSBCが調査報告としてまとめています。その結果、日本の状態がかなり厳しいということがわかりました。収入、ワークライフバランス、子供の教育において最下位(33カ国中33位)だったのです。総合ランキングでも32位でした。

このランキングは、世界中の全ての国を比較したものではなく、駐在員からの情報が十分に得られる国だけを対象にしたものであることには注意が必要です。しかし、どこか別の国への移住を考えているような人々は、こうしたランキングを参考にするわけですから、意味は大いにあるでしょう。

日本はもはや貧しい国になりつつあるという認識

日本はもはや貧しい国になりつつあるという認識が必要です。収入が少ないにも関わらず、ワークライフバランスが崩れるほどの仕事が求められます。それは時給が安いということであり、生産性が低いということでもあるでしょう。

このまま、こうしたランキングが改善されないままだと、どうなっていくのでしょう。まず、外国人労働者の存在が欠かせない日本に、外国人が来てくれないようになることは確実です。そして次に起こることは、今度は日本人が、低賃金の労働力として、世界の国々に出稼ぎに出るようになります。

そうなった時、日本の介護はどうなるのでしょう。すでに日本国内では最低賃金に近い介護業界で働く人は、海外で介護の仕事をした方がずっと待遇がよくなる状態にあるかもしれません。しかも、ワークライフバランスや子供の教育といった面でも、そうした海外の国の方が上となれば、日本で働く理由が無くなります。

地方から東京への流れは、日本から世界への流れに

これと似た理由で、かつての日本では、地方から東京へ向かう人の流れが生まれたのでした。地方で暮らすよりも、東京で暮らした方が、収入や子供の教育といった面で有利だったからです。しかしこうした流れは、いよいよ、日本から世界への流れに変化していきそうです。

この流れは、自動翻訳機の実用化によって、加速するでしょう。そして自動翻訳機の実用化は、すでにかなりのところまで来ていることは、誰もが知っていることです。財政破綻して衰退する地方自治体の姿は、将来の日本そのものの姿になりつつあるということです。

そうなってしまったとき、日本で介護が必要な人は、介護サービスを受けられなくなります。家族がその介護をしようにも、家族は外国で働いている可能性も高くなります。そんな未来において、日本は本当に人生100年時代になっているでしょうか。非常に疑問があります。

※参考文献
・Business Insider Japan, 『日本は収入、教育などで最下位。外国人が「住みたい、働きたい」国ランキング』, 2019年9月4日

KAIGOLABの最新情報をお届けします。

この記事についてのタグリスト

ビジネスパーソンが介護離職をしてはいけないこれだけの理由