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介護福祉士をめざす留学生が2,000人を超える

介護福祉士をめざす留学生が2,000人を超える

介護福祉士をめざす留学生が過去最多に

共同通信(2019年9月3日)によれば、介護福祉士を養成する学校への留学生が昨年から倍増、初めて2,000人を超え、過去最高になったとのことです。こうした介護福祉士の養成校は、定員に対して半数にも満たない学生しか確保できない状態になっており、学校としては、生き残りをかけた嬉しい話なのだと思います。

同時に、こうして日本に来ていただける外国人に対して、ひどい労働条件で使い倒す企業が問題になっています。そうした労働条件を押し付けられている外国人による告発で、炎上するということが続いています。そうした企業は一部なのかもしれませんが、それでもこれは深刻な社会問題です。

特に介護業界は、そもそも、外国人でなくても、日本人にとってもひどい労働条件が(ほとんど)改善されないまま放置されてきた業界でもあります。経営者に悪意がなくても、こうした労働条件は、介護業界である限り、構造上、仕方がないという状況なのです。

日本の介護現場が世界に告発される?

今後、介護現場に多くの外国人が配属されていく過程で、外国人が逃げ出してしまう事例は必ず出ると考えられます。そのとき、ただ逃げ出すのではなく、ネット上で告発するといったことが起こるでしょう。そもそも、ひどい労働条件があるのですから、人数が増えてくれば、炎上が増えるのは当たり前です。

今後、人工知能に代表される自動化の実用化にともなって、多くの人が、現在の職場では働けないような時代がやってきます。わかりやすいところでは、自動運転技術が普及すれば、プロのドライバー(タクシー、バス、トラックなど)は、別の仕事を探さないとならなくなります。そうした労働力の少なからぬ部分は、介護業界が吸収することになります。

また、年金問題から、定年退職後も仕事をする必要に迫られる人も多数になるでしょう。誰もが、介護を仕事にする可能性があるわけです。そうして、自分が介護の仕事をするようになってから、労働条件に不満を言っても遅いでしょう。介護業界の待遇問題は、日本の社会問題として、より広く認識される必要があります。

介護業界の待遇改善は絶対に必要だ

外国人労働者や他の業界から介護業界に転職してくる人材が、介護業界の労働条件を告発するようになることは、結果として、介護業界の待遇改善にとってはプラスになる可能性があります。そもそも、告発がなければ現状は(ほとんど)変わらないのですから、こうした告発は、むしろ必要なものです。

そして、介護業界の待遇改善は、経営努力ではどうにもならない構造を持っています。基本的には、広い意味で税金で運営されているのが介護業界であり、税金である以上、そこにいくらのお金を使うかは、国が決めているということは、もっと世間一般に知られるべきことです。

理想は、介護産業が発達し、それが日本の新たな輸出産業となることで税収が増え、そうして増えた税収が介護業界に流れることです。この流れができなければ、人口減少にともなって、日本の税収は減っていきます。税収は減っても、介護を必要とする高齢者は2040年を超えるまでは減らないのです。

※参考文献
・共同通信, 『介護留学生、初の2千人超』, 2019年9月3日

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