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千葉市による2017年の調査(有効回答127社)で、介護事業の経営者が悩んでいることがリスト化されています。そのトップ3は(1)介護人材の確保61.4%(2)事業収益の確保48.0%(3)新規利用者の獲得37.0%、でした。
介護業界で広く認識されている通り、人手不足は深刻です。経営課題のトップが介護人材の確保であることは、納得の結果です。また、介護業界の倒産件数は、毎年の調査で、毎回過去最高の記録を更新しています。ですから、経営課題の2番目が事業収益の確保であることもうなづけます。
少し意外だったのは、新規利用者の獲得が、経営課題の3番目に入ってくるというところです。一般には、介護を必要とする高齢者は急増しており、そうしたニーズに対して、介護事業者は足りていないというのが統計的な事実として認識されています。それが、経営者目線では、少し違って見えているということになります。
介護事業の経営者からすれば当たり前なのでしょうが、介護業界の外の人間として認識しておきたい、介護事業の特徴があります。それは、利用者(顧客)として獲得した人は、どんなにサービスに満足していたとしても、死別という形で、顧客ではなくなっていくということです。
また、死別ではなくても、介護が重度化すると、在宅介護から施設介護へと介護形態が変わることもよく起こります。そうした時、介護事業者は、次の利用者をできるだけ短期間のうちに獲得できないと、簡単に赤字になってしまうのです。
マクロに見れば、介護については、需要が大きく、供給が追いついていないというのが実情です。しかしミクロには、いくら需要が大きくても、宿命的に生じる利用者の離脱を、短期間のうちに埋められないとならないという厳しさがあり、利用者の獲得は、大きな経営課題なのです。
介護をする家族という立場からは、介護事業者のこうした事情を理解しておきたいものです。具体的には、利用したいと思う介護サービスが満席で、今現在は利用できないとしても、ある日突然そうした満席状態は崩れ、数日のうちにまた満席になるということです。
特に地域で評判の、人気のある介護サービスは、満席であることが多くあります。ですが、そうした介護サービスも「待ち」という状態で登録だけでもしておくと、意外と早く利用できるようになることもあります。
介護事業の経営者としては、とにかく、こうした新規獲得が難しいと考えているのですから、そうした背景を理解した上で「待ち」という状態を作っておけば、サービスの提供者からしても、利用者からしても、どちらにとっても合理的ということになります。
※参考文献
・千葉市, 『千葉市介護事業所向けアンケート調査 報告書』, 平成29年8月
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