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病院による、高齢ドライバーの免許返納に対する取り組みの事例

病院による、高齢ドライバーの免許返納に対する取り組みの事例

認知症などで通院している高齢者に対して

日本の警察は、高齢ドライバーの自主的な免許返納に取り組んでいます。強制的な免許返納であれば簡単ですが、自主的な免許返納は、本人の意思決定に影響を与えるという話であり、実際の免許返納につなげることは、容易な話ではありません。

そこで警察は、病院に対しても、自主的な免許返納への協力要請をしています。医師の口から「そろそろ、自動車の運転は危険ですよ」と言われたら、本人の意思決定に大きく影響するでしょう。警察も、それを期待しているのでしょう。

そうした中、実際にアクションを起こした結果に関する報告の論文(蜂須賀, 2018年)があります。この病院では、神経内科に認知症などで通院中の高齢者320人について調べています。320人のうち122人(約38%)が免許を保有していたところに、医師より免許返納をすすめた結果、25人(免許保有者の約20%)が返納に応じています。

家族としても医師からのアドバイスを活用したい

高齢の親をもつ家族は、そうした親が運転していることを心配していることも多いでしょう。とはいえ、子供から親に「そろそろ免許返納したら?」と言ったところで、素直に言うことを聞いてくれるケースばかりではないはずです。むしろ、いくら強く言っても、言うことを聞いてくれないというケースの方が多い可能性もあります。

そうした家族として、一つ、考えておきたいのは、主治医から免許返納をアドバイスしてもらうというルートです。今回、取り上げた論文からすれば、それで免許返納となる確率は20%程度(5人の1人程度)にすぎません。しかしそれでも、有効な説得方法の一つとして認識しておく必要はあるでしょう。

頑なに免許返納を拒んでいた親が、20%の確率ではあっても、意識を変えてくれる可能性があるというのは、大事な情報です。また、警察から医師へは協力要請が入っているという事実もあるわけですから、家族から親の主治医に対して「先生からも言ってもらえませんか?」とお願いするのはおかしなことでもありません。

免許返納後の生活が大事

当たり前ですが、免許返納の説得は、返納後の生活をどうするのかという話とセットです。ここについては、家族としても、情報が足りないところではないでしょうか。何よりも、返納後に受けられる支援は、自治体によって大きく異なるという点も、状況を難しくしています。

家族からの免許返納の相談に慣れている医師であれば、ここに関しても、基本的なアドバイスはもらえるでしょう。しかし、そうしたラッキーなケースばかりではないことを考えると、やはり、地域包括支援センターなどを活用していくことが求められそうです。

逆に、返納後の支援に関する情報も、免許返納の説得材料としても大事なものでもあります。公共交通のディスカウントが得られたりすることは普通にありますし、進んでいる自治体であれば、さらに多くの支援があります。また「こういう支援が欲しい」という要望があれば、それは自治体に伝えないとなりません。

※参考文献
・蜂須賀保明, et al., 『当院での高齢者運転免許証の自主返納の取り組みについて』, 高松赤十字病院紀要 Vol. 6:16-21,2018

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