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駆け込み需要が・・・ない?高負担・低福祉の社会がやってくる

駆け込み需要が・・・ない?高負担・低福祉の社会がやってくる

10月より消費税が10%になります

今年の10月(2019年10月)より消費税が10%になります。こうして増税があるときには、その直前に、安い税率のうちにモノを買うという駆け込み需要があることが普通です。しかし各方面から、駆け込み需要のようなものが感じられないということが話題になっています。

相変わらず、外国人観光客は増えていますが、日本人の駆け込み需要と呼べるような現象が見られないのです。いよいよ、天井が落ちてきたという話ではないかと、市場関係者は戦々恐々としています。すなわち、駆け込み需要すら生み出せないほど、家計に余裕がないというところまで来た可能性があるのです。

特に、建築需要が、駆け込み需要どころか逆にマイナスになっているという日経アーキテクチュアの指摘(2019年8月21日)は印象深いものです。新築の不動産は、高額な商品であるため、駆け込み需要が顕在化しやすいものです。それにも関わらず、需要がマイナス成長しているということは、かなりインパクトのあるニュースです。

世界が利下げに動く中での増税

様々な経済指標が、世界の景気後退が近いことを示しています。そうした背景を受けて、極端な経済崩壊を避けるために、世界各国では利下げが検討されています。そうした中で、日本は、消費税の増税に踏み切るという、世界とは逆の流れに乗ろうとしています。

こうしたことは、単純に世界と横並びになることが正解というわけでもないので、簡単には判断できません。ただ、今回の消費税増税においては、日本の家計には、駆け込み需要を生み出すほどの体力が残されていない可能性があるわけで、いよいよ、日本の好景気の終わりが近いことは確かでしょう。

そうした景気の後退局面における増税がどのような結果になるか、日本は、国をあげた実験に突入しようとしています。増税によって社会福祉財源の確保が進むことで人々の生活不安が下がり、景気はそれほど下がらないという可能性もあります。ただ、これとは逆に、増税が人々の生活不安を高めれば、大変な着地にもなり得るわけです。

第三の道は実現可能なのか?

増税に反対する人もいれば、賛成する人もいます。増税に反対する人は、今回のような駆け込み需要がないという憶測に見られるような家計の圧迫を心配しており、それが消費を鈍らせ、経済が後退することを懸念しています。逆に増税に賛成する人は、社会福祉の向上と貧富の格差是正のための財源確保を願っています。

増税でも減税でもない第三の道は、税金の使い道を見直すということです。これは常に行われてはいるものの、ここには、そもそも政治家や官僚といった税金によって活動する人々が、自らの自由になる予算を減らすということが本当に可能なのかという、民主主義の制度設計上の問題が大きく横たわっています。

この第三の道が革命的に進まない限り、今後も、長期的には増税は避けられないでしょう。そうした革命的な変化が、自発的に内部から起こるということは、歴史的にはあまり見られないものです。であるならば、長期的には増税に耐えられるような経済成長を目指すということだけが現実的な選択になりそうです。

経済成長がない場合の着地は国家レベルでの貧困しかない

本当は、減税しても十分な財源が確保できるような経済成長が実現されることが理想です。減税しても、経済が伸びていて、消費も活発であれば、税収は上がるからです。しかし、そうした理想的な経済成長は、今後の日本に起こりえるでしょうか。少子高齢化を前提とすると、多くの人が、これには懐疑的です。

経済成長がないとした場合、残されているのは、国家レベルでの貧困に至る増税です。生活保護や年金の受給者が増え続け、医療保険や介護保険のための歳出も増え続けると、増税は止められません。しかし、どこかの時点で、増税しても税収が増えないという局面が訪れます。

増税が機能しなくなると、いよいよ、弱者切り捨てとなります。生活保護や年金の支給額は減らされていき、医療保険や介護保険の自己負担割合は増えていきます。すでにこうした流れができていることは、ご存知の通りです。つまり、すでに日本は、国家レベルでの貧困という選択をしているとも言えるわけです。

高負担・低福祉という国家に存在意義はあるのか?

私たちが税金を支払うのは、その見返りとして、安全安心(安全保障や社会保障など)が得られるからでしょう。しかし、そうして負担させられる税金に対して、見返りとなる安全安心がゆらぐとした場合、税金の流れを管理する国家の存在意義が疑われることになります。

歴史的には、こうした高負担・低福祉の国家においては、民衆の不満が爆発し、一揆や革命といった混乱が発生することにつながっています。国家は、そうした不満の矛先を国外に向けようとします。それは戦争に至る道であり、過去何度も、人類が経験してきたことです。

高負担・低福祉が避けられない状況であることと、周辺諸国との関係性が悪化していることは、もっと広く懸念されるべきマッチングなのです。これからの景気後退の局面においては、周辺諸国においてもまた、高負担・低福祉の社会が出現してきます。これは、非常に危険な世界になりつつあるということです。

※参考文献
・日経アーキテクチュア, 『消えた「駆け込み需要」消費増税後の市場は下り坂』, 2019年8月21日

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