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低賃金労働に外国人を雇える状態が「終わり」になる日

低賃金労働に外国人を雇える状態が「終わり」になる日がやってくる

介護人材が足りない

介護人材が足りないという問題は、本当に深刻です。数十万人規模での人材不足なので、いざ、自分に介護が必要になった場合、それを担ってくれるプロがいな胃という未来は、すぐそこです。子供が介護をするという場合、子供は介護のプロに頼れない状態では、仕事を辞めないとならなくなってしまいます。

これまで、KAIGO LABでも継続的に指摘してきた通り、こうした介護業界の人材不足の根本原因は、介護業界の待遇の悪さにあります。介護にはやりがいがあって、待遇に関係なく働くという人もいるかもしれませんが、例外的です。

米プリンストン大学のダニエル・カーネマン教授(2002年にノーベル経済学賞を受賞)によれば、人間の幸福度は、年収800万年(75,000ドル)程度までは年収に比例して上がるのです。40歳モデル賃金でも年収400万円に満たない介護業界は、多くの人にとって働く魅力のない業界と感じられても仕方がないのです。

低賃金労働に外国人を雇うという特権

介護業界に限らず、飲食業やコンビニでも、深刻な人材不足が続いています。日本では、そうした人材不足を埋め合わせるために、外国人労働者を受け入れるという流れになっていることは、広く知られている通りです。実際に介護業界にも、外国人が増えてきています。

ただ、こうして、低賃金労働に納得してくれる外国人を受け入れられるには、一つ、絶対に必要となる条件があります。それは日本が、そうした外国人から見たときに母国よりも豊かであり、平均賃金も高いことです。日本では低賃金でも、母国での仕事と比べたら十分に稼げる場合にのみ、外国人を雇うことが可能です。

当たり前のことなのですが、低賃金労働に外国人を雇うという特権は、豊かな国にのみ存在するということが忘れられているように思います。そして日本は、確実に貧しい国になりつつあります。遠くない将来、どこかの時点で、日本は東南アジアの貧しい国になる可能性が高いのです。

外国人が雇えないだけでは終わらない

外国人が雇えなくても、ITを使った仕事の効率化によって、介護人材1人あたりが介護できる高齢者の数を増やせばいいと考えるなら、それは間違いです。確かに、仕事の効率化は日本全体にとって必要なことです。しかし、それで問題は解決しないという認識も重要です。

日本が相対的に貧しくなれば、今度は、日本人が、海外に出稼ぎにでる番がやってきます。同じ仕事でも、日本よりもずっと高い賃金が支払われる国が出てくれば、日本国内から海外への人材流出が始まります。そうなると、介護などは特に完全自動化が難しい仕事ですから、人材不足はより激化すると考えられるのです。

自動翻訳機の大規模な実用化は、そう遠くない未来に実現します。グローバルな出稼ぎは、ここ数十年の日本では考えられないことでした。しかしそれは、少子高齢化によって貧困化が避けられなくなった日本に、いつか必ず訪れる未来です。衰退した地方の姿は、未来の日本全体を先取りしていたということでもあります。

ギリシアやイタリアのような未来

ギリシアやイタリアは、すでに、こうした状態にあります。街には外国人観光客があふれていますが、やや極端に言えば、国に残っている人は高齢者ばかりで、若者の多くは北欧やアメリカに行ってしまいます。たまに若者を見かけても、多くが男性です。少なからぬ女性は、国際結婚をするなどして、外国に行ってしまうからです。

日本で、外国からの観光客が増えている理由は、そもそも、日本が貧しい国になりつつあり、豊かな国の人々からすれば、物価が安くて旅行しやすいからです。外国人観光客が増えるということは、日本の価値が世界に認められたという話ではなくて、国が貧困化に向かっているという重要なサインなのです。

どうしてこんなことになってしまったのか・・・という嘆きに答えることはなかなか難しいことです。よく政治のせいにされますが、それだけで説明がつく話でもないでしょう。ただ、最後の希望だった団塊ジュニア世代は、出産適齢期を大幅に超えてしまいました。もはや、後戻りはできず、奇跡も期待できない状態です。

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