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家族による介護が失敗する3つの理由(介護リテラシーについて)

家族による介護が失敗する3つの理由(介護リテラシーについて)

介護が難しくなるのは家族に原因があることが多い

介護業界で広く認識されていることとして、家族こそ、介護が難しくなる原因というものがあります。とはいえ、介護業界としては、家族もクライアントであり、クライアントに対して「あなたが変わらなければ難しい」と直接的に伝えるのは困難という事情があります。

そのため、介護業界で働く人から、家族へのアドバイスは、直接的ではなくて「〜してみてはどうですか?」といった間接的で柔らかいものになりがちです。例外的に、直接、アドバイスをする人もいますが、それが素直に受け入れられるケースは多くないと思われます。

ただ、こうして大介護時代が到来し、介護に関わる家族が急増する中で、このような間接的な方法を続けることも難しくなってきています。そうなると、これから介護に突入する人も含めて、介護業界とは関係のなかった人の介護リテラシーを高めるという視点が重要になってくるでしょう。

家族による介護が失敗する3つの理由

あくまでも一つの意見にすぎませんが、家族による介護が失敗する3つの理由をまとめてみたいと思います。これらは、別の言い方をするなら、介護業界とは関係のない人が、最低限の介護リテラシーとして理解しておきたいことであり、今のところは3つのハードルにもなっているものです。

理由1. 親のことを知っていると思っている

多くの人が、自分は親のことをよく知っていると思っています。しかし実際には、親の友人・知人の連絡先、親の貯蓄・保険の状況、親が楽しみにしている同窓会などのイベント、親の典型的な一週間、親が贔屓にしているスーパー、親が最近好きになったアーティスト、親が最近気になっているニュースといったことを把握している人は、決して多くはありません。少し引いて考えてみると「お父さん」「お母さん」というのは「部長」「課長」と同じように役職の名前です。特定の役割をこなしている時のその人を知っていたとしても、そうした役割を離れたときのその人を知っていることにはならないでしょう。しかし、こうした親に関することは、親が認知症になってからでは、知ることが非常に困難になります。元気だった頃、20年くらい前の親の姿を知っているからと言って、現在の親のことを知っていることにはなりません。逆に考えてみてください。親は、子供のことを理解しているでしょうか。それと同じくらい、子供も親のことを理解していないと考えてみたほうが良いと思います。

理由2. 介護は自分でもできると思っている

子育てというのは、かつて子供だった自分自身が育てられた経験(ユーザー体験)を基礎としているため、初めての子育てでも、それなりにこなせるようになっています。小学校が6年で、中学校が3年で、高校は3年で、それぞれに学ぶ教科などについても知識があるでしょう。さらに、自分自身が受けた教育と、全く同じ教育をする人は少ないと思います。自分の経験を振り返って、改善すべきと思われる部分は改善し、自分が受けた教育よりもより良いものを子供には受けさせようとするでしょう。では、介護はどうでしょうか。まずもって、自分自身が介護された経験というのは無いことが多く、病気に関する基本的な知識はおろか、そもそも介護保険制度も知らないものだと思います。子育てであれば、塾や学校などに頼ることなく進めようとはしないはずです。介護もまた、教育と同等かそれ以上に専門性が求められる世界です。介護は、素人には難しいという事実を受け入れ、積極的に専門家の支援を求めないとならないのです。

理由3. 元気だった頃の親のことを誇りに思っている

誤解を避けるために述べておきますが、親を誇りに思う気持ちは大事です。苦労をして自分を育ててくれたという事実は、自分が子育てをしていたりすると、よくわかるものでしょう。ただ意外かもしれませんが、親のことを誇りに思っているということが、介護の邪魔になることがあります。まず、親は、子供に少しでも良いところを見せようと、無理をしていることが多いものです。しかし、子供が独立して家を離れたあとは、そうした無理から解放されて「素」の状態になります。綺麗に整理されていた室内はごちゃごちゃになっていたり、インテリっぽい趣味からはすっかり遠ざかっていたり、料理の腕前も下がっていたりします。子供がいない生活が長くなると、そうした「素」の状態を隠せなくなります。そこに老化が乗ってくるわけです。子供は、そうした親をみて「どうしちゃったの?」「こんなこともできないなんて!」「しっかりしてよ!」ということになりやすいのです。しかし介護は「その人らしくあること」、すなわち「素」であることを大事にします。無理なく心地よい状態を作るために、家族からのこうした声がけは、親にとって負担になるということは、認識しておいたほうが良いでしょう。

介護リテラシーとして知っておきたいこと

介護リテラシーとして知っておきたいこととして、まずは「介護は、介護をする家族のあり方によって、難易度が上がる」という事実があります。他にも知っておくべきことはたくさんあるのですが、とにかく、家族のあり方が、介護の邪魔になることがあるという点については認識し、注意しておきたいところです。

親について知らないことを自覚し、色々と親に関する情報を整理してくれている家族がいると、介護の難易度は下がります。なんでも自分でやろうとせず、介護のプロに相談してくれる家族は、支援がしやすいものです。そして、かつての親の姿ではなく、今の親の「素」の状態を受け入れてくれる家族なら、親も気楽になります。

介護が難しくなるのは、親子が愛し合っているからこそです。ただ、負担の大きい介護は、親子のどちらも幸せにはしません。介護がおかしなことになってしまい、家族のお互いへの気持ちが悪化してしまう背景に愛があるというところが難しいのです。なんとか、介護リテラシーを高めつつ、優れた介護を実現したいものです。

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