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見守りつき賃貸住宅、費用の半額を補助(東京都)

見守りつき賃貸住宅、費用の半額を補助(東京都)

高齢者になると家が借りられない・・・

高齢者になると、賃貸住宅を借りにくくなります。これは大きな社会問題なのですが、不動産オーナーの立場からすれば、自分が貸した部屋で孤独死されてしまったりすれば、家賃収入が途絶えるだけでなく、その後、身内を探したり、クリーニングしたりといったコストまで発生してしまう話です。

単身で暮らす高齢者は増加を続けており、2040年には、65歳以上の世帯のうち40%が一人暮らしになる見通しです。特に東京都では、これが45%以上になると考えられています。これだけの割合の高齢者が、家を借りられなくなる状況に直面すると考えると、この問題の深刻さが際立ってくるでしょう。

そうした中、東京都が、単身高齢者の見守りに対して、その費用の一部を補助するという制度を開始しました。少しでも不動産オーナーの不安を解消するためのものですが、効果はどうなるでしょう。まずは以下、産経新聞の記事(2019年8月6日)より、一部引用します。

民間の賃貸住宅に住む高齢者への見守りサービスを提供する事業者に対し、都は経費の半額を補助する事業を始めた。見守りサービスの補助は全国の自治体で初めてで、令和3(2021)年3月まで実施する。高齢者は賃貸住宅に入居するのが難しい現状があり、入居しやすい環境をつくるのが狙い。(後略)

見守りが監視にならないために必要なこと

見守りと監視の違いは、紙一重です。何かを警戒して見るという意味では、どちらも違いがありません。その本質的な違いは、見られる側が受ける印象に依存します。見られる側が、それににより安心が得られるのであれば見守りでしょう。しかし、それが不快に感じられたら監視です。

大事なのは、これは、見る側に善意があるかどうかによらないという部分です。見られる側が嫌な気持ちにならないことが重要なのであって、それは主観によるところが大きいことに配慮する必要があります。

今回のような補助は、不動産オーナーにとっては朗報でしょう。しかし、そこに入居する高齢者からすれば、気持ちの悪い話にもなりかねません。見守りの中身が、そこに入居する高齢者の安心にとって、どのように貢献するのかも、非常に大切な視点になってくるでしょう。

実は、見守りサービスというのは、その客観的な重要性にも関わらず、ビジネスとしては、なかなか難しいという話を聞くことが多いのです。その原因は、やはり、見守りと監視の違いという、とてもデリケートな問題が放置されていることにあるのではないでしょうか。

日本の住宅事情、本当の問題は?

日本の住宅事情を考えるとき、税金で補助されている公営住宅が少ないという事実を直視する必要があります。公営住宅は、本来、なんらかの事情により貧困状態にあったり、身寄りのない状態でオーナーから賃貸を拒否されてしまうような人のために存在するものです。

所得に占める家賃の割合が20%を超える人を特に「ハウジング・プア」と言います。公営住宅が少なく、平均所得が伸び悩んでいる日本では、家賃が重すぎて、生活全体が苦しくなる「ハウジング・プア」が多数いるはずです。

今回の東京都による対策も、本来であれば、公営住宅を増やすという保守本流の対策があった上で、その追加対策として掲げられるようなものです。あくまでも、本質的な対策は、公営住宅の拡充であるはずなのです。

見守りの話も、確かに重要なものです。しかし、見守りが広がることと、公営住宅を整備することは、別の問題として向き合う必要があるものだと思います。今後の日本を考えると、自治体の対策としては、見守りに注力することも大事ですが、公営住宅の拡充についても頑張ってもらいたいところです。

※参考文献
・産経新聞, 『高齢者見守り半額補助 都、賃貸入居環境を整備』, 2019年8月6日
・日本経済新聞, 『高齢世帯、45%超が一人暮らしに 2040年の東京・大阪』, 2019年4月19日

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