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自分の死後、愛するペットの世話はどうするのか?

自分の死後、愛するペットの世話はどうするのか?

養育の機会は孤独を癒す

人間にとって、孤独は、非常にリスクの大きい問題です。孤独は、肥満や喫煙よりも健康に悪いとも言います。イギリスでは、この問題を直視し、孤独担当大臣まで設置しています。現代社会における世界共通の「敵」と言えるのは、孤独なのです。

専門的に孤独を考える場合、ウェイス(Weiss)の6因子に注目する必要があります。この6因子の中でも、特に、愛情を込めて世話をする対象のあるなしを示す養育の機会(opportunity for nurturance)が重要です。

高齢者の孤独は、そのまま、要介護や死のリスクを高めることが知られています。高齢者自身も、それを自覚しており、子育てが終わっていても、ペットと共に暮らしている高齢者も多数います。ただ、こうしたペットの世話をめぐる問題は、大きくなってきているのです。

ペットの飼育には、大きな責任がともなう

改正動物愛護管理法では、飼い主に対する義務が規定されています。ペットの飼い主となる人には、ペットが命を終えるまで、その責任が(強化された罰則と共に)問われることになったのです。当然と言えば当然の話なのですが、それだけ、ペットを飼うということが一般化し、トラブルも増えているということです。

特に高齢者は、ペットによって癒されることの効果が高いと予想されます。同時に、高齢化によって高齢者の数そのものが増えていることを考えると、今後、ペットの問題は大きくなることはあっても、小さくなることはないでしょう。

そうした高齢者のペット問題において、おそらく、本人たちももっとも気にしているのが、自分の死後(または自分が認知症になった後)のペットの世話に関することでしょう。法的な責任が問われることよりもむしろ、自分の愛するペットの将来が気になるという部分が大きいと思われます。

自分の死後、愛するペットの世話はどうするのか?

自分の死後、愛するペットの世話はどうするのか、気になっている高齢者は多いと思われます。その点に関して、少し古いのですが、NIKKEI STYLEが記事にしています。以下、その記事(2016年3月14日)より、一部引用します。

ホームは2012年4月の開所時から、入居者と犬猫との共同生活を認めている。(中略)ホームでは、入居者が亡くなった場合、残されたペットの面倒を最期まで見る。「ホームのペット」として費用を負担し、世話を続け、ペットが亡くなった後は、火葬をして施設裏手の庭にある専用墓地に埋葬する。(中略)

行政書士らでつくるファミリーアニマル支援協会(本部・東京)は、「ペット信託」を手掛ける。飼い主(委託者)が家族や友人など信頼できる人(受託者)と信託契約を結ぶ。飼育費などを信託財産として専用口座に入れておき、飼い主が死亡したり施設に入ったりした場合、決めていた新たな飼い主などにペットを引き渡し、飼育費を支払うよう委託する。(中略)

アスモ少額短期保険が昨年4月から扱うペットの飼い主向け少額短期保険「ペットのお守り」(保険期間1年)。飼い主が死亡した場合、ペットを託せる身内などへ死亡保険金を最高300万円支払う。84歳まで加入でき、90歳まで更新可能だ。(後略)

ペットと一緒に入居できる老人ホーム、ペットの引受先を決めておけるペット信託、そしてペットを託せる人への保険など、この分野には、色々な選択肢が生まれつつあるようです。それぞれのケースに合った対応を決めていきたいものです。

※参考文献
・NIKKEI STYLE, 『ペット残して逝けない 「後を託す」サービスも増加』, 2016年3月14日

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