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JTBによる定額制のタクシーサービスが広がってきている

JTBによる定額制のタクシーサービスが広がってきている

JTBのジェロンタクシー

JTBは、2015年から、定額制のタクシー利用サービスの実証実験を重ねています。運転免許の返納問題を先取りしたもので、介護業界から長く注目を集めています。その実証実験が、今度は群馬県で行われるそうです。以下、Responseの記事(2019年7月29日)より、一部引用します。

JTBは、社会福祉法人の明和町社会福祉協議会とともに2019年8月1日から2020年2月29日までの期間、群馬県明和町の高齢者を対象に定額乗り放題タクシーの「JTBジェロンタクシー」を利用した実証実験を実施すると発表した。

JTBジェロンタクシーは、JTBのグループ会社であるJTBガイアレックが企画・実施する募集型企画旅行商品で、タクシーの前払方式による日数制定額サービス。2015年に福岡・北九州、昨年、野県諏訪市で実証実験を進めてきた。(後略)

このジェロンタクシーについては、KAIGO LABでも、過去何度かの記事において、サービスの可能性について指摘しています。そんな注目のサービスが、少しずつではあっても前進していることは、とても嬉しいことです。関係各位の努力に敬意を表したいと思います。

バスよりも柔軟に、しかしバス並みの価格で

求められているのは、バスよりも柔軟なサービスであり、かつ、バス並みの価格であることでしょう。しかし、基本的に個人向けの移動サービスを、集団向けのサービスであるバス並みの価格とすることは不可能に近いことです。

そこで必要になってくるのが、こうしたサービスに対して、どこまで公的な資金を注入するかという部分でしょう。高齢者が免許返納によって自宅で引きこもってしまうと、その分だけ、要介護となるリスクが上がるのは自明です。ですから、こうした公的な資金には、介護予防のための投資としての意味があるからです。

とはいえ、公的な資金にも限界がありますから、こうしたサービスの利用時間や利用日数、利用できる範囲などに制限を設ける必要もあります。実証実験では(おそらく)こうして定める制限と利便性のバランスを見ているものと推定されます。

最低限のところまでは公的な資金を注入し、そうした範囲を超えて利用したい人には、通常の料金をチャージしていくような方法にすれば、それぞれの生活設計に合わせたサービスを構築できます。実務的には、こうした通常の範囲を超えた利用のところで、十分な収益が確保できるかどうかが鍵になりそうです。

先にインフラとして成立させれば、後で大きく儲かる?

JTBとしては、こうして公的な資金まで入った交通インフラを握ることは、鉄道や飛行機に変わる大きな移動手段を握ることにつながるでしょう。特に自動運転技術が完成した後は、売り上げは(ほとんど)そのままであったとしても、コスト面は大きく下げることが可能です。

自動運転技術が完成した後の時代には、自動車を所有するという概念がなくなり、ジェロンタクシーをシェアするといった感覚になる可能性もあります。ただ、この分野は、儲かるとわかれば、それこそ鉄道や飛行機の会社からも新規参入もあるでしょうから、そんなに簡単な話でもありません。

ただ、とにかく早い段階で参入しておけば、ブランドは構築できます。すでに使い慣れているサービスというのは、品質や価格でより優位なものが生まれても、そうして構築されたブランドによって優位に戦えます。JTBは、ここを狙う戦略を立てているものと思われます。

ユーザーとしては、こうしたサービスが複数出てきて、品質と価格で競争してくれることが、ありがたい未来につながります。なお、自動車が個人に所有されず、インフラとして多数にシェアされる未来には、自動車メーカーが困ることになります。それを避けるため、自動車メーカーが、こうしたサービスに参入してくる可能性も高いと考えられます。楽しみですね。

※参考文献
・Response, 『高齢者を対象の定額タクシー、JTBが群馬県で実証実験へ』, 2019年7月29日

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