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認知症になると、友人・知人に会わなくなる

認知症になると、友人・知人に会わなくなる

認知症になると・・・

認知症の人を対象としたアンケート調査の結果があります。その結果として、認知症になる前との変化として「友人・知人と会う」ということについて「やめた」が31.5%、「回数や頻度が減った」が37.7%となりました。

その原因(複数回答)は「約束や会う時間や場所などを忘れてしまう」という人が44.2%と最多ですが「電話や携帯、メールなどの通信機器を使うことが難しい」も43.5%と、ほぼ同じレベルの課題として抽出されています。

認知症になると「他者と良好な関係を築くための認知機能」に障害が出てしまいます。とはいえ、他者とつながっていたいというのは人間の根源的な欲求であり、認知症の人であっても、それは変わりません。ただ、それが下手になってしまうということなのです。

孤独は様々な意味でよくない

そうして友人・知人と会う機会が減ってしまうと、孤独になります。孤独は、肥満や喫煙よりも健康に悪いという報告もあり、実際に、死亡や要介護のリスクが高まるということもわかってきています。

世間では「孤独死」が問題視されることが多いですが、本質的には「孤独死」よりもむしろ「日常的な孤独」の方がずっと大きな問題です。「日常的な孤独」は、それこそ、現代社会における世界共通の敵と言えるのです。

先のアンケート調査の結果が示しているのは、認知症になると、こうした「日常的な孤独」が普通に見られるようになるということでしょう。それは結果として認知症の進行を早め、その介護をより負担の大きなものにしてしまうことにつながります。

認知症への社会的な準備が足りていない

認知症に苦しむ人は、軽度認知障害(MCI)も含めて、2025年には1,100万人になると予想されています。国民の10人に1人が認知症となるにも関わらず、日本の社会は、それに対して準備ができているとはとても言えない状況にあります。

そうした中で、認知症サポーター養成の取り組みは、大きく成功していると言って良いでしょう。この認知症サポーターの成功を「ダムに空いた小さな穴」としつつ、日本がもっと認知症に苦しむ人との共存に優れた社会になっていく必要があります。

認知症に苦しむ人を「日常的な孤独」に押し込まない社会は、認知症ではない人もまた「日常的な孤独」から解放してくれる社会です。もはや、国費にのみ頼った社会的な介護の構築は不可能と考えて、それぞれが共に助け合う社会を築かないとなりません。それだけ、日本の状況は逼迫しています。

※参考文献
・朝日新聞, 『認知症の7割、友人に会うの「やめた・減る」』, 2015年2月16日

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