閉じる

プロスポーツ選手のパラレル・キャリアとしての介護(バンディオンセ加古川)

プロスポーツ選手のパラレル・キャリアとしての介護(バンディオンセ加古川)

プロスポーツ選手の大多数は注目されない

プロスポーツ選手というと、世界で大活躍する選手ばかりに注目が集まるものです。子供たちは、そうした世界で大活躍する選手に憧れます。そしてそうした子供たちの中には、自分自身もまた、プロスポーツ選手を目指す人が出てきます。

そうして、本当にプロスポーツ選手になれるのは、本当に一部の、努力と才能に恵まれた人だけです。仮に、努力と才能に恵まれていたとしても、怪我でもすれば、それでプロスポーツ選手としてのキャリアは閉じてしまいます。

当たり前の話ですが、プロスポーツ選手としては、活躍できず、注目もされない選手の方が大多数です。そうした大多数の存在があればこそ、突き抜ける人が目立つという側面もあるわけで、これはこれで仕方のないことでしょう。

パラレル・キャリアの推進が強く求められる

では、そうした大多数の選手はどうなるのでしょう。大活躍することを夢みて努力してきた選手は、そのスポーツ以外のことには見向きもせず、特に、社会から求められる専門的な勉強については、過去に置き忘れてしまっている選手の方が多いでしょう。

しかし、プロスポーツ選手としての人生は、長くても10年程度です。多くのプロスポーツ選手は、実質的に解雇される形で、社会に放り出されます。その時になってから、次のセカンド・キャリアを目指し、専門的な勉強をはじめても、簡単には追いつかないというのが悲しいところです。

こうしたセカンド・キャリアでは遅いという意見は、プロスポーツの世界では昔から言われてきました。本当は、困ってからのセカンド・キャリアではなく、プロスポーツ選手として頑張りながらも、副業として、何か他の専門性を身につけるようなパラレル・キャリアが必要なのです。

バンディオンセ加古川(サッカー関西1部リーグ)の取り組み

サッカー関西1部リーグのバンディオンセ加古川は、こうした背景から、選手たちに、プロスポーツ選手としての仕事以外に、介護施設の正職員としての仕事をさせています。チームに所属する40人の選手のうち、19名が、このパラレル・キャリアを歩んでいます。以下、神戸新聞NEXTの記事(2019年7月9日)より、一部引用します。

サッカー関西1部リーグ「バンディオンセ加古川」の選手たちは、高齢者介護の施設で働きながら上位進出を狙う。昨年、チームは「日の出医療福祉グループ」(兵庫県加古川市)と連携し、選手ら40人のうち19人が介護施設の正職員として就職した。(中略)

日の出医療福祉グループは、播磨地域を中心に介護事業を展開。バンディオンセの有力スポンサーの一つでもある。昨年、選手の就労を持ち掛けた。西敏行人事部長(45)は「選手は愛想が良くて体力もあり、一つのことに打ち込むことにたけている。利用者や職員から大好評」と評価する。

バンディオンセの大塚靖治代表(35)は「選手のセカンドキャリアに役立つ」と話す。昨年チームを引退した選手の1人は、介護福祉士の資格取得を目指し、同グループの施設で働き続けている。

勝負師だからこその目線もある

プロスポーツ選手というのは、勝負師です。ですから、選手によっては、こうしたパラレル・キャリアの選択を「勝負師として集中できていない」と考えるケースもあります。しかし、どのような仕事でもそうですが、別の仕事の体験が、今の仕事に活かせるということは、意外と多いのです。

プロ棋士である羽生善治氏は、第1級の勝負師でしょう。そんな羽生善治氏は、ボードゲーム全般において実力を発揮しており、特にチェスの世界では、日本国内で1〜2位の地位を維持しています。将棋だけをやっているわけではないのです。

プロスポーツ選手は、一般人よりもずっと、厳しい練習に耐え、努力することができる人々でもあります。選手生命が終わってからではなく、プロスポーツ選手としての活動と他の専門的な仕事を並行させるパラレル・キャリアを歩むことが、プロスポーツ選手の長い人生を支えることにつながるものと信じています。

※参考文献
・神戸新聞NEXT, 『介護施設で働きながら戦うサッカー選手 バンディオンセ加古川の19人』, 2019年7月9日

KAIGOLABの最新情報をお届けします。

この記事についてのタグリスト

ビジネスパーソンが介護離職をしてはいけないこれだけの理由