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認知症になった人は、自分が認知症になったという認識がないと言われることがあります。しかし、多くの介護現場の人々と話をしていると、認知症になったという確信まではいかなくても「自分はどこかおかしくなってしまったのではないか?」といった不安を持つ人は多いと感じます。
そうした不安は「自分はいたって普通である」という認識と「自分は認知症である」という認識が、頭の中でグルグルしているからこそ生じるものでしょう。認知症ケアは、そうした本人の揺れ動く心に応じて、介護するときの対応を変化させないといけないというところにもあります。
そう考えたとき、認知症ケアにおいて重要なのは、ゼロベースで(先入観を持たないで)、目の前の本人の心理状態を観察することです。急にスイッチが入ったように、心理状態が変わるので、それを見逃すと、安定的な介護ができなくなったりもします。
家族だからこその落とし穴もここにあります。家族は、認知症になった本人の、認知症になる前の状態をよく知っています。その分だけ、どうしてもゼロベースで本人の状態を観察するということが難しくなるのです。これは、本人のことを大事に思う家族だからこその難しさです。
家族からすれば、立派だったお父さん、いつも明るい強さを見せていたお母さんが、認知症によって別人のようになってしまったと感じます。どうしても、昔のお父さんやお母さんに戻る日がくるのではないかという期待も持ちます。しかし、そうした期待は、認知症の本人には、精神的なプレッシャーになります。
認知症ケアにおいては、できるだけストレスをかけず、本人が心地よい状態をキープすることが求められます。逆に「お父さん、どうしちゃったの?」「お母さん、そんなことも忘れてしまったの」といった対応をされると、ストレスによって不安が高まり、認知症ケアとしては厳しい状態にもなりかねないのです。
プロの介護職は、そもそも、認知症になる前の本人を知らないことが多いため、ゼロベースでの認知症ケアが可能です。とはいえ、知識や経験のあるなしで、認知症ケアの質には差があります。そうして普段、プロの介護職との関係性を築く中で、自分からみて、対応がとても上手い人からは、認知症ケアのポイントを学ぶべきでしょう。
そうした熟練のプロは、一般論を押さえていることは当然としても、相手の個別性に合わせた認知症ケアをしているものです。それぞれ、相手の特徴をつかんでおり、認知症ケアで注意すべきところを理解しています。
場合によっては、そうしたプロに紹介してもらって、認知症ケアのセミナーなどにも参加してみるのも良いかもしれません。とにかく、認知症ケアにおいては、家族だからこその難しさがあり、それを乗り越えないと、安定的な介護をすることが難しくなるという点には、注意するようにしてください。
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