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損保ジャパンが、損保事業4000人を介護事業に配置転換?

損保ジャパンが、損保事業の4000人を介護事業に配置転換?

損保ジャパンの決断

損保ジャパンは、国内の大手損保企業のなかでも、もっとも従業員数が多い損保です。そんな損保ジャパンが、今後、ITによる業務効率化を見据え、国内の従業員を4000人削減するというニュースが入ってきました。以下、日経新聞の記事(2019年6月24日)より、一部引用します。

損害保険ジャパン日本興亜は2020年度末までに、国内損保事業の従業員数を4000人減らす。17年度に比べて人員を2割弱、削減する。IT(情報技術)の活用で生産性を高めるほか、新卒採用も絞る。介護やセキュリティーなど市場が伸びる事業への配置転換も進め、効率化を急ぐ。(中略)

損保事業では定型業務を自動化するロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)の活用を進める。親会社のSOMPOホールディングス(HD)が手がける介護やセキュリティー事業などグループ会社への出向も検討する。(後略)

親会社SOMPOホールディングスの置かれている状況

損保ジャパンの親会社は、SOMPOホールディングスです。SOMPOホールディングスは、ワタミの介護を引き継いで介護大手になった会社でもあります。そんなSOMPOホールディングスは、現在、介護業界の売上高において、トップに君臨するニチイ学館を僅差で追いかける、業界2位の地位にあります。

ただ、2019年3月期の利益で見ると、ニチイ学館が、10%を超える利益率(売上1,514億円, 利益164億円)を叩き出しているのに対して、SOMPOホールディングスは赤字(売上1,274億円, 利益-2億円)になってしまっています。

赤字の背景には様々な要因があると考えられますが、特に大きいと思われるのが、人材採用費です。介護業界の人手不足は、東京都における有効求人倍率が7.46倍(2018年12月)になるなど、深刻な状況が続いています。これだけ人手不足だと、人材の確保のためのコストが跳ね上がるのも当然でしょう。

4000人の配置転換は成功するか?

今回のニュースは、損害保険の仕事をしてきた4000人を、人材不足が続く介護事業に配置転換をしようとするSOMPOホールディングスの大きな戦略が見えます。もちろん、4000人の全てが配置転換に応じるとは思えませんし、計画では、どれだけの配置転換が見込まれているかもわかりません。

もちろん、こうした配置転換には、本人の希望が大事になります。それに、介護の仕事には専門性があり、これまで介護とは関係のない仕事をしてきた人材を配置転換しても、いきなりは仕事ができないでしょう。ただ、ここにはSOMPOホールディングスならではの有利性があります。

実は、SOMPOホールディングスは、老人ホームの数(全国321拠点)と居室数(19,907室)で、介護業界でトップの地位にあるのです(2019年4月末時点)。そして老人ホームでは、複数の介護職がチームにって高齢者の介護を行うため、介護の未経験者でもできることがあり、仕事を始めやすいという特徴があります。

大きな流れが生まれつつある

徐々にではありますが、ITによる業務効率化によって、人員削減の流れが生まれつつあります。特に金融業界では、その流れが顕著になってきているでしょう。同時に、IT化が進めにくく、介護を必要とする高齢者が激増している日本の介護業界においては、慢性的な人手不足が続いています。

これは結果として、ITによる業務効率化が、介護業界の人手不足の解消を助けているという構図を作っているわけです。これ自体は、マクロに見れば、悪いことではありません。介護業界の人手不足が解消しなければ、介護を必要とする多数の人が介護難民になってしまうからです。

ただ、ここには一つ大きな問題があります。それは、介護業界の待遇が、他の業界に比べてずっと安いということです。こうして介護業界に吸収される人材は、生活レベルを下げなければならなくなります。それは結果として、税収の低下にもつながります。その意味からも、介護業界の待遇改善が、どうしても必要なのです。

※参考文献
・日本経済新聞, 『損保ジャパン、国内4000人削減 IT活用で効率化』, 2019年6月24日

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