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アクセル踏み間違いを防止する装置に補助金(東京都)

アクセル踏み間違いを防止する装置に補助金(東京都)

自動車の存在を前提とした日本の発展

日本は戦後、自動車の存在を前提として、インフラを整えてきました。高速道路はもちろん、山間部や過疎地であっても、自動車で行けないところはほとんどないと言って良いほど、インフラが整っています。

結果として、狭い国土であっても、居住地を分散させることにも成功してきたのです。居住地が分散されたことによって、多くの人が、立派な自宅を持ちながら、幸せな家庭を築くこともできました。

それに合わせて、日本の自動車産業も大きく飛躍しました。輸出入のコストがかかる自動車は、自国で生産できれば、外国の自動車との競争に勝ちやすいということも、有利に働きました。そうして自動車の存在は日本の象徴ともなったのです。

しかし、日本は少子化対策に失敗し、地域から子供の姿が消えていくという時代に突入してしまいました。ナマハゲも「悪い子どころか、子供がいない・・・」と嘆いているという笑えないジョークがあります。

社会的な問題に発展した高齢ドライバーの存在

日本が高齢化するにつれ、高齢ドライバーの存在が問題視されるようになってきました。自動車技術の発達によって、2004年をピークとして事故の総数は減っていても、そうした事故に占める高齢者の割合は年々上がっているからです(2018年度で18.0%)。

そもそも日本全体が高齢化しているのですから、事故に占める高齢者の割合が増えても不思議なことではありません。しかし、高齢者はアクセルとブレーキを踏み間違いやすいということや、高齢者は自分の運転に自信があるといった調査結果などから、高齢ドライバーの存在そのものが「よくないこと」と認識されるに至ったのです。

社会的な関心が高まっているため、高齢ドライバーによる事故のニュースは、ほとんど毎日のように報道されるようになりました。そうした報道を受けて、多くの高齢者が運転免許の返納に動いています。今後は、運転免許の年齢制限や、年齢に応じたセンサー取り付けの義務化などが進んでいくと考えられます。東京都も、アクセル踏み間違いを防止する装置に補助金を出すことを決定しています(朝日新聞, 2019年6月11日)。

ただ、先にも述べたとおり、日本の国土設計は、自動車の存在を前提として整備されてきました。一部の都市部を除けば、自動車がないと生活できないという地域が多いのも、かつての日本の選択であったわけです。免許返納は、自立を失うということとイコールになるケースも出てきてしまいます。

高齢ドライバー問題が介護問題である理由

高齢ドライバーが免許を返納すると、社交の場はもちろん、買い物にさえ苦労するようになります。それはすなわち、社会との接点を失うということでもあるでしょう。そうして高齢者が社会との接点を失うと、要介護になりやすくなるというのは、周知の事実です。

高齢ドライバーが免許返納をした場合、その高齢者には、介護予防という視点からも、なんらかのケアが必要になることは明白なのです。介護予防でなくても、買い物の支援や通院の支援がなければ、生きられないということもあり得ます。

高齢ドライバー問題について、介護業界が注目している背景には、こうした事情があります。そして、特にデイサービスの車は、日中(11〜15時くらいまで)使われていないというあたりには、デイサービスによる、新たな高齢者支援の可能性も感じられます。

今後も、高齢ドライバーの免許返納が進むでしょう。それは、完全な自動運転が実用化されるまでの我慢かもしれません。ただ、それが数年の話であったとしても、その間の事故を減らす努力は必要です。東京都の事例のように、具体的なアクションが求められます。

※参考文献
・朝日新聞, 『アクセルの踏み間違い防止装置、都が購入費の9割補助へ』, 2019年6月11日

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