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老人ホームが倒産する?入居できても安心できない時代

老人ホームが倒産する?入居できても安心できない時代

老人ホームの倒産が増えてきている

老人ホームに入居したら、基本的な日常生活の問題は解決し、家族も本人も、落ち着いて自らの人生を全うできるようになります。もちろん、老人ホームには色々な形態があり、本人との相性もあり、その選定は簡単ではありません。ただ、本人が「ここが終の住処だ」と決められたら、その家族の負担は極端に減らせます。

しかし、そうした「終の住処」は、本当に「終の住処」になるのでしょうか。実際には、老人ホームの倒産が増えてきており、せっかく見つけた「終の住処」から追い出される高齢者が出てきてしまっているのです。それは、家族にとってはかなりの悪夢になることはいうまでもありません。

そんな、老人ホームの倒産について、Business Journalが記事にしています。介護サービスを提供する会社の中でも、老人ホームの倒産が突出して伸びているのです。以下、Business Journalの記事(2019年6月6日)より、一部引用します。

超高齢社会の裏側で、「有料老人ホーム」や「サービス付き高齢者住宅(サ高住)」などを含む「老人福祉・介護事業」の倒産が相次いでいる。東京商工リサーチの調査によると、2018年は106件で、17年(111件)、16年(108件)と並び高水準で推移した。

特に「有料老人ホーム」は前年比2.3倍と急増している。この要因としては、先行投資に見合う入所者が集められないなど、当初の経営計画が甘い事業者が多くなっていることが挙げられる。(中略)

18年は「住宅型有料老人ホーム」の倒産が目立っており、設備が整った高級タイプから、低料金を売り物に必要最低限のサービスに抑えているタイプまで、施設によって運営状況が千差万別になっていて、利用者の評判や口コミなどでも業績が動きやすく、同業他社との競合が激しい。(後略)

空室ができると一気に財務が悪化する構造

老人ホームは、収容できる最大の人数に合わせて、スタッフを配置しています。しかし、老人ホームの常として、入居している人が亡くなっていくことは避けられません。そうして入居に穴が空くと、老人ホームの財務状況は一瞬で悪化してしまうのです。

そこで、そうした入居の穴を埋めるために、老人ホームの紹介業というものが発達してきています。そうした紹介業は、社会的に必要だから登場しているわけですが、そうして紹介業者に流れるお金もまた、老人ホームの経営を悪化させる要因として、無視できないものになりつつあります。

こうした老人ホームの経営構造は、もはや変更が効きません。要するに不動産ビジネスになっており、厳しい競争環境から、空室率が上がってしまうと破綻する形になってしまっているのです。そして、運命的に死別による空室ができるという背景が、経営をますます困難なものにしています。

ユーザー側からすれば、そうして老人ホームが倒産するニュースが流れると、老人ホームへの入居を躊躇するようになります。すると、老人ホームは、一時入居金を下げるなどして対応せざるを得なくなり、財務はさらに悪化するという悪循環が生まれてしまいます。

本当は、在宅介護だけでなんとかなる時代がくれば良いのです。しかし、そうした時代になるまでは、実用に耐える介護ロボットの登場を待たねばならず、それまで、あと20年くらいの時間は必要でしょう。

そうなると、老人ホームを選ぶ立場からすれば、慎重になるということ以外の防衛策はありません。それがまた、老人ホームの収益を悪化させることにつながるにしても、他に手がないのですから。
 
※参考文献
・Business Journal, 『老人ホーム、倒産激増…介護報酬の不正請求が原因も、“終の棲家”問題が深刻化』, 2019年6月6日

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