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高齢者からの電話相談で、認知症を判別する?

高齢者からの電話相談で、認知症を判別する?

消費生活センターとは?

消費生活センターとは、地方公共団体が設置している行政機関です。消費生活(商品の購入など)におけるトラブルの相談を受けつけているだけでなく、様々な情報発信を行なっています。「消費者ホットライン」に電話をすると、全国で最寄りの消費生活センターにつながる仕組みになっています。

そんな消費生活センターが、認知症への対応を強化しつつあるようです。東京都の消費生活センターである東京都消費生活総合センターの事例を、日本流通産業新聞が記事にしています。以下、日本流通産業新聞の記事(2019年6月6日)より、一部引用します。

東京都消費生活総合センターが相談体制を強化している。増加傾向にある高齢者からの相談を専門に担う専門チームを構成したり、新人の相談員の育成を専門とするチームを構築することで相談品質の向上につなげている。(中略)

高齢者からの相談の増加に対応することを目的に「高齢者支援グループ」を相談員約5人体制で設置。認知症の疑いのあるような高齢者からの相談を専門に受け付ける。対面ではなく、声だけで認知症の疑いがあるかどうかを判断するため、一定のスキルを持つベテランの相談員が対応しているという。(後略)

声だけで認知症の疑いがあるかどうかを判断する?

声だけで認知症の疑いがあるかどうかを判断するというのは、少し言い過ぎで、実際には、電話でのやり取りにおいて「辻褄が合わない」などのサインを読み取るということでした。東京都の消費生活センターでは、このための研修をしているとのことですが、こうした研修は全国の消費生活センターでも共有されるべきでしょう。

気になるのは、そうして、認知症の疑いが確認された後の対応です。業務が増え続けている消費生活センターとしては、そこから先を、自前で対応することはできないでしょう。どこかの関係機関に連絡をし、そこから先の対応は、そうした関係機関が行うことになるはずです。

ある意味で、消費生活センターは、認知症の早期発見における最前線にあるわけです。そこで取得された情報は、非常に貴重で意義深いものであることは疑えません。認知症を早期に発見し、本人では難しくなっている専門の医師に相談することは、重度化を避けるためにも大事でしょう。

ただ、2018年上半期だけで3万件近い(27,466件)相談が60歳以上の高齢者から寄せられているという現実もあります。そうした業務の中で、認知症の疑いがあるという高齢者は、数千人規模で発見されるものと推測されるのです。その数千人への対応は、どこが受け取るのでしょう。簡単なことではありません。

認知症への対応は(まだ)大きな議論になっていない

現代の日本では、軽度認知障害(MCI)を含め、認知症に苦しむ人が1,000万人を越えようとしています。しかし、もはや10人に1人というレベルで出現しつつある認知症に対して、国として大きな議論がなされているようには感じられません。

既存の枠組みで、ただ、対応する人数を増やすような形では、この問題はどんどん大きくなるばかりです。根本的に、認知症に苦しむ人が多数になることを前提とし、そうした人々が尊厳を持って普通に暮らせる社会の構築が必要です。

なんでも成り行きになりやすいのが、日本の特徴にもなってしまっています。しかし、介護に関することは、成り行きではどうにもならない問題に発展してしまっています。社会保障のための財源確保、社会福祉に従事する人々の待遇改善、そして様々な健康問題の早期発見と対応の体制整備など、やるべきことがたくさんあります。

政治家も「やるべきことはやった」という言い訳のためのパフォーマンスではなく、本当に日本の未来を考えるのであれば、この問題は絶対に避けては通れません。これから、国民の多くが、そうした政治家の活動に注目するようになっていきます。そして、認知症への対応を専門とする政治家の登場が望まれています。

※参考文献
・日本流通産業新聞, 『東京都/高齢者向け相談体制を強化/地域の福祉部門と連携』, 2019年6月6日

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