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東北大学が、高齢者の運転技能を向上させるトレーニング・アプリを開発

東北大学が、高齢者の運転技能を向上させるトレーニング・アプリを開発

高齢者の運転事故が大きな社会問題に

高齢者の運転事故が大きな社会問題になっています。今年の事故としては、85歳のドライバーが女子高生2人をはねた前橋事故、そして87歳のドライバーが12人を死傷させた池袋事故が記憶に新しいと思います。本当に痛ましい事故で、思い出すのも辛いものです。

こうした事故の報道は、加熱し過ぎているようにも思われます。ただ、そうした報道を受けて、免許の返納に動く高齢者も増えてきているようです。周囲でも「うちの親もやっと返納した」と言った話を聞くことが増えてきました。実際には統計をみてみないとわかりませんが、報道の効果はあったように感じます。

そんな高齢者の運転事故は、自動運転が実用化されれば、実質的にゼロに近いところまで減らすことができるでしょう。しかし自動運転の実用化には、まだ課題が多数あり、技術的には可能になってはきていても、誰もが普通に使えるようになるには、まだ時間がかかると思われます。

そんな自動運転の実用化までの時間をどうするか、多くの人々が様々なアプローチを生み出して提案しています。高齢者に多いアクセルとブレーキの踏み間違いについては、すでにワンペダルがあります。また、自動ブレーキのセンサーなども続々と登場してきています。

東北大学が効果のある高齢ドライバーのトレーニング・アプリを開発!

そうした流れの中で、東北大学が、自宅のTVで簡単に行える運転のトレーニング・アプリを開発し、その効果検証の結果、良好な効果が得られたことを発表(2019年5月20日)しています。以下、東北大学のプレスリリースより、一部引用します。

東北大学加齢医学研究所の野内類(のうちるい)准教授と川島隆太教授を中心とする研究グループは、自宅のTVで実施できる運転技能向上トレーニング・アプリを開発し、高齢者を対象に無作為比較対照試験を用いて効果検証を行いました。その結果、1日20分の運転技能向上トレーニング・アプリを6週間実施したグループは、同じ期間他のゲームアプリを実施したグループよりも、自動車運転技能と認知力(処理速度と抑制能力)とポジティブ気分(活力)が向上することが明らかになりました。

このアプリでは(1)状況判断の速度を高めるゲーム(2)2つの対象に同時に把握する注意力を高めるゲーム(3)移動する物体の動きを予測する力を高めるゲームが提供されます。ゲームは、テレビのリモコンで行えるというあたりも、高齢者が使い慣れているモノを意識した設計になっています。

少しでも悲しい事故を減らすために

多くの人々が、少しでも悲しい事故を減らすために、異なる立場から努力をしています。ただ、こうした技術開発は、自動運転が実用化されれば必要のなくなる寿命の短いソリューションであり、それに効果があったとしても、中・長期的には決して儲からない技術開発です。

だからこそ、儲からなくても、自動運転の実用化までの期間だけでも、悲しい事故を減らしたいという人々の思いがあることは、広く知られるべきだと思います。介護業界がまさにそうであるように、儲かるか、儲からないかだけで、社会は動いてはいません。

とはいえ、善意の行動が、結果としての貧困につながってしまうような社会は、どこかが間違っているでしょう。市場の原理ではうまくいかないところには、公的な資金やNPOの存在がどうしても必要になります。税金の使い方について市民が考えることはもちろん、NPOへの寄付を含めた参加なども、重要になってきます。

※参考文献
・東北大学プレスリリース, 『6週間の認知トレーニングで高齢者の自動車運転技能と認知力と活力が向上!(運転技能向上トレーニング・アプリの開発とその効果を検証)』, 2019年5月20日

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