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エレベーターが止まらない?不停止階のあるマンション問題

エレベーターが止まらない?不停止階のあるマンション問題

エレベーターの不停止階のあるマンション

大介護時代になり、マンションのエレベーターが問題になることがあります。エレベーターは、通常、各階に停止するものと思っている人も多いでしょう。しかし、マンションによっては、1階、4階、7階といった具合に、エレベーターが停止する階が決められているものがあります。

この背景としては、2つの大きな流れがあります。1つは、そもそも、マンションの設計がはじめからそうなっている(=スキップフロア型マンション)ものです。エレベーターホールのためのスペースを、住居スペースとして確保できる分だけ、広い間取りの部屋を増やせるメリットがあります。

もう1つは、マンションの管理コスト削減のために、本当は停止させることができる階を、意図的にスキップさせているマンションです。エレベーターの電気代を節約しようということです。マンションの空き部屋が増えてきたり、住民のコスト意識が高まってきたところで採用されることがあるようです。

バリアフリーやユニバーサルデザインの時代に・・・

特に、マンションの設計として不停止階を設けているスキップフロア型マンションは、現在のように、バリアフリーやユニバーサルデザインという考え方が浸透していなかった過去の時代のものです。居住空間を増やしたりする効果はありますが、大介護時代にはそぐわないでしょう。

とにかく、不停止階のあるマンションにおいては、階段の上り下りが必要になる住民が出てきてしまいます。こうした階段の上り下りは、若いうちは、体力づくりに貢献することもあるかもしれません。しかし、介護が必要な人はもちろん、高齢者には(特に下りの階段が)危険でもあります。

そして、そもそも車椅子を必要とする生活になれば、エレベーターがないマンション(エレベーターが止まらない階)に暮らすことは難しくなります。その視点からは、現在、スキップフロア型マンションで健康に暮らしている高齢者は、将来、ほとんど強制的な引越しが必要になる可能性があります。

そもそもエレベーターがないマンションに暮らしている高齢者もいる

高度成長期には、エレベーターのないマンション(いわゆる団地)が日本全国に建設されています。そうしたマンションは、老朽化も進んでいるため、建て替えの話が出ているところがほとんどです。しかし、建て替えに必要となる膨大な資金が問題で、建て替えは現実的とは言えないことも多いのです。

そしてそうしたマンションに長年暮らしてきた人々は、高齢者になっています。そうした高齢者にとっては、マンションの1階が人気になります。1階に空きが出たら、上の階から引っ越したいといった「予約」が殺到しているケースもあるそうです。

また、テクノロジーでこの問題を解決しようとする動きもあります。まだまだ開発段階ですが、階段の上り下りができる車椅子や、階段に設置される車椅子専用の高機能なエスカレーターなどが、より使いやすい形で登場してくる可能性があります。

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