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日経新聞が、その時の旬のテーマを、インフォグラフィック(=情報を視覚的に表現する手法)で表現するという試み「日経ビジュアルデータ」をはじめています。その中で、日本全国の介護ランクに関するインフォグラフィックがアップされました(2015年11月13日)。
自分や両親の暮らしている市区町村を入力すると、その場所の医療ランクと介護ランクが、それぞれ7段階で表現されます。ただ、介護ランクは今のところ介護施設の受け入れ能力だけで評価されていて、完璧とは言えません。
ですから、注意したいのは、この情報だけで、どこの地域の介護ランクが高い低いということを結論づけられないということです。あくまでも、介護施設の受け入れ能力についての調査結果であり、特に受けられる在宅介護の数と質がわかりません。
ただ、今後は、こうした方法で、日本全国の介護ランクが比較できるようになっていくという「未来」を感じさせるには十分です。とても面白いので、以下のリンクから、ぜひ見てみてください。PCにもスマホにも対応しているあたり、さすがです。
http://vdata.nikkei.com/prj2/maps_medcare/
日本の介護制度は、市区町村の自治体レベルで、それぞれが独自の運用をしているというのが現状です。そこには「縦割り行政」が生まれてしまっており、それぞれを比較することすら難しい状況になっています。
特に、介護ランクが低い自治体としては、比較をされて、住民が出て行ってしまうことが怖いわけです。そうなると、ますます、比較のためのデータを出すことに消極的にもなるでしょう。
もちろん、情報開示は自治体にとって大事な仕事なので、開示はします。ただそれが、今回紹介したようなインフォグラフィックのように読みやすい形はしていません。だからこそ、今回の日経ビジュアルデータの報告は面白いのです。
その中でも特に面白いところは、東京圏の介護ランクの低さが際立って見えることです。これまでも「東京の介護がこれから大変なことになる」と聞いていましたが、こうしてインフォグラフィックで見ると、本当に深刻であることが伝わってきます。
過去にも記事にしていますが、自治体のサポートによって受けられる介護サービスのレベルは、自治体の財政状態などによって、かなり異なります。
ここを理解しないままに、安易に引越し(または親の呼び寄せ)をしたりすると、思わぬ落とし穴にはまることがあるので注意してください。さもないと、わざわざ介護サービスのレベルが高いところから低いところに移動するようなことになってしまう可能性があるからです。
東京圏であれば大丈夫というのは幻想です。今回、日経ビジュアルデータが示した通り、むしろ東京圏のほうが介護ランクが低い傾向があり、受けられる介護サービスが貧弱である可能性もあります。ここについては、しっかり自分で調べたいところです。
繰り返しになりますが、今回紹介したインフォグラフィックは、大事な判断をするには、含まれている情報が不十分です。それでも、今後はこうした自治体を比較するようなデータが多く開示されていくでしょう。これはまだ始まりにすぎず、今後はもっとこうした情報を得やすくなっていきます。
「未来」に期待したいですし、また、私たちもこうした「未来」を創ることに協力していきたいですね。
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