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高齢ドライバーによる事故をいつまで放置するのか(池袋事故を受けて)

高齢ドライバーによる事故をいつまで放置するのか(池袋事故を受けて)

池袋事故についてわかっていること

以下、今回の池袋事故について、わかっていることをまとめます。本当に痛ましい事故であり、私たちは、こうした事故が繰り返されないために、本気で日本の自動車事情について考え、具体的な対策を早急に社会で広めないとならないでしょう。

事故の概要
・4月19日のお昼(12:25)ごろ、東京都豊島区東池袋4丁目で発生
・事故を起こしたのは、87歳の男性が運転する乗用車
・事故を起こした男性は2017年の免許更新時に「異常なし」とされた
・事故を起こした男性は1年ほど前から足を痛めており杖を突いていた
・医師からも車の運転を控えるように指示されていたが運転を続けていた
・運転者と同乗していた妻を含め12人が死傷(負傷者数に変動あり)
・負傷者のうち31歳の女性と3歳の女の子(母子)が死亡した

事故の経緯
・道路左側の縁石にホイールを接触する事故を起こし、パニック状態に(推定)
・速度を上げ約70m先の交差点に赤信号無視で突入し70代の男性をはねる
・さらに約70m先の交差点に赤信号無視で突入し母子をはねる(母子死亡)
・左折してきたゴミ収集車に衝突し、そのはずみで歩行者4人をはねる
・反対車線で信号待ちをしていたトラックにぶつかって止まる
・この全行程(約150m)を時速100km近くで走行

75歳以上の高齢ドライバーによる死亡事故は460件(2018年)

昨年の2018年は、75歳以上の高齢ドライバーによる死亡事故(高齢ドライバーが過失の最も重い第一当事者となったケース)は460件あったそうです。これは、2017年よりも42件増えているとのことでした(東京新聞, 2019年2月14日)。

もちろん、死亡事故を起こしてしまうのは、75歳以上の高齢者ばかりではありません。ドライバーの年齢によらず、死亡事故は起こっています。ただ、こうした死亡事故における75歳以上の高齢ドライバーがしめる割合は毎年上がっており、2018年は14.8%と、割合として過去最高を更新しています。

高齢ドライバーは、他の年齢層のドライバーよりも運転に自信を持っているというデータがあります。しかし同時に75歳以上の高齢者は、アクセルとブレーキを間違える傾向がある(確率が7倍以上に高まる)こともわかっています。

高齢ドライバーの場合、免許の更新時に、認知機能のチェックテストを行なってはいます。しかし、今回のケースでもわかる通り、この認知機能のチェックテストは、死亡事故を減らすことに対して、十分な効果があるとは言えないわけです。

こうした話は、完全な自動運転が実用化されれば、必要なくなることです。しかし、完全な自動運転の実用化を待っていることは、もうこれ以上、できないのではないでしょうか。これだけの人が事故で死亡しているのです。もう、放置はできないはずです。

運転免許の年齢制限が必要ではないか

運転免許の取得には、18歳以上という年齢制限があります。しかし、何歳までという年齢の上の方には制限がありません。老化により心身機能が衰えることには個人差があるのは当然です。しかし18歳未満の子供の個人差は考慮されていないのですから、上限についても、個人差を無視しても(一旦は)良いはずです。

18〜75歳といった、運転免許の年齢制限を確定すれば、今回のような死亡事故はなくせたのですから、これ以上、議論を続けるのではなく、国会に法案を提出し、決めることが重要だと考えられます。これを実現するため、それでは生活できないという人々に、どう対処するのかも重要です。

地方でどうしても自動車が必要というケースについては、せめて自動ブレーキの搭載を義務付けることが重要でしょう。しかし、今回のケースのように、池袋といった人口が密集する都会に暮らしている人の場合は、待ったなしでの免許返納でも良いのではないでしょうか。

まずは、公共交通の発達している都市部においては、18〜75歳といった、運転免許の年齢制限を設けることの議論を開始すべきです。その上で、公共交通のない地方の問題は、自動ブレーキ機能をはじめとした各種センサーを搭載した自動車のみ、運転可能といった対策が求められます。

運転免許を自主的に返納している高齢者は(今のところ)わずか4%にすぎません。とにかく、これ以上、高齢ドライバーによる悲惨な事故が起こっていくのを、ただ、眺めていることはできません。教育を超えた具体的な対策を、法律として整備していく必要があります。早急な対応が必要です。

本当は高齢者本人が免許を返納するのが望ましい

当たり前ですが、法律で上限を設定してしまうよりも、高齢者本人が自らの意思で免許を返納することが望ましいのです。しかし、自動車の運転は、特に現代の高齢者の世代にとっては、自分の人生と切り離すことが難しい大事な価値であることもあります。

そこで、高齢者の人にも、どうしてもみてもらいたい動画があります。NEXCO東日本が作成したもので、高齢ドライバーのみならず、その家族にも、免許返納を考えてもらうために作成されたものです。

痛ましい事故が、これ以上起きないことを、誰もが願っています。その実現に向けて、広い議論と制度の構築が求められています。とにかくまずは、家族内で、この問題をしっかりと話し合うことが大事でしょう。

※参考文献
・朝日新聞, 『赤信号を2回無視、ドライブレコーダーが記録 池袋事故』, 2019年4月20日
・産経新聞, 『高齢者の重大事故 免許定年制の検討必要だ』, 2019年4月23日
・FNN, 『縁石に接触し気が動転か 池袋事故の87歳元院長』, 2019年4月23日
・日本経済新聞, 『時速100キロ近くで暴走か 池袋10人死傷』, 2019年4月24日
・東京新聞, 『75歳超運転死亡事故460件 警察庁18年集計 過去最高14%』, 2019年2月14日
・毎日新聞, 『新たに30代母と2歳女児の軽傷が判明 死傷者は計12人に 池袋暴走事故』, 2019年4月24日
・NHK NEWS WEB, 『池袋 母子死亡事故 医師から運転控えるよう指示』, 2019年4月27日

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