閉じる

訪問介護の担い手がいなくなる?ヘルパーの高齢化をどうするのか

訪問介護の担い手がいなくなる?ヘルパーの高齢化をどうするのか

訪問介護の需要はどんどん上がって行く

介護を必要とする人の自宅を訪問して介護をする訪問介護は、今後、需要が伸びることが確実です。介護施設への入所は、安いところは入所待ちで長蛇の列ですし、高いところは富裕層でないと入所できないような状態だからです。

そんな、これからの日本の未来を担う訪問介護は、介護業界の中でも難易度のとても高い仕事です。現場で、1人のヘルパーが、必要な介護の(ほぼ)全てをこなす必要があるからです。ヘルパーには、介護技術はもちろん、糖尿病の人向けの料理を手際よく美味しく作るといった実務能力も求められます。

これに対して施設介護の場合は、責任範囲を細かく分けて、チームでの介護をします。そのため、未経験からでも働ける(もちろん、そんなに簡単ではありませんが)のが施設介護の特徴になっています。その意味では、施設介護は、多くの介護人材にとって、介護業界への入り口になっています。

在宅での介護が強く求められて行くこれからの日本を考えると、訪問介護のできる人材を増やしていかないとならないのです。しかし、その育成には相当な時間もかかるため、訪問介護の需要を予測しながら、介護人材の人材育成を前倒しで進めていく必要があります。

ヘルパーが高齢化しつつあるという大問題

全労連が行なった調査(サンプル数=5,800人)によれば、訪問介護のヘルパーの平均年齢は58.1歳で、全体の51%が60歳以上でした。現場では十分に認識されていたことではありますが、これは、かなりショッキングなデータです。

現在、60歳のヘルパーは、10年後には70歳になります。そうなると、これまでヘルパーとして働いてきた人の中には、逆に介護を必要とする人も出てくるでしょう。介護を必要としないまでも、ヘルパーを辞める人も多数出てくるはずです。

これから10年で、そもそも育成に時間のかかる訪問介護のヘルパーが、一気に退職して行く可能性が高いのです。何も手を打たない限り、訪問介護のニーズは高まるのに、それを提供できる人材がいなくなって行く未来が見えています。

では、若手が訪問介護のヘルパーになるかというと、そうでもありません。訪問介護の仕事は、同僚との付き合いも少ないため、孤独な仕事です。また、介護を必要な人と密室で2人きりになったりもするので、ハラスメントの問題もあり、介護業界の中では、人気の職種とは言えないからです。

国は訪問介護だけでの人員計画を立てるべき

介護業界全体で、どれだけの人材が、訪問介護ができるだけのスキルを身につけているのかを理解する必要があります。その上で、今後発生してくるヘルパーの退職に備えて、どれだけの人材を教育しないといけないのかを知る必要があります。

繰り返しになりますが、訪問介護のヘルパーの育成には時間がかかります。その時間を考えながら、人材を確保していけないと、多くの高齢者が、自宅で介護を受けられないまま、死んでしまうという事態が現実になってしまうのです。

介護業界の人材不足は「2025年までに34万人不足」といった具合に、その人数ばかりが話題になりがちです。しかし介護の中でも、特に訪問介護には、相当な専門性が求められ、その育成には時間がかかるという事実については、考察が足りていないように思います。

「2025年までに34万人不足」という34万人の、少なからぬ部分が訪問介護のヘルパーではないかと思われます。その場合、今から準備しておかないと、間に合わなくなります。ヘルパーの教育パッケージも、個別に介護事業者が準備するのではなく、国で支援すべきところではないでしょうか。

※参考文献
・日テレニュース, 『訪問介護 登録ヘルパー半数以上が60歳超』, 2019年4月22日

KAIGOLABの最新情報をお届けします。

この記事についてのタグリスト

ビジネスパーソンが介護離職をしてはいけないこれだけの理由