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高齢者を介護現場に?ケアワークパスポート研修(八戸市)

高齢者を介護現場に?ケアワークパスポート研修(八戸市)

八戸市のケアワークパスポート研修

八戸市は、高齢者の就労支援として、高齢者に介護業界で働いてもらうことを支援しています。その重要な施策として、ケアワークパスポート研修を(介護人材発掘育成事業)行なっています。その効果測定に関する論文(天摩, 2019年)があります。

このケアワークパスポート研修は、4〜5日の研修期間で、17個のプログラムを届ける構成になっています。その始まりは、介護施設の見学からです。プログラムの多くは講義ですが、現場体験や、実際に介護業界で働いている人々との交流も、プログラムの中に入っています。

この研修を受けて、介護業界に興味を持った高齢者には、就労までの包括的なサポートが行われます。ポイントは、この研修の前後で、研修を受けた人の介護業界へのイメージが好転する(74.4%)ことです。なんとなく暗いイメージを持っていた人も、この研修を経て、介護業界への就職を考えています。

介護業界の人手不足対策の決定打になるか?

八戸市のこの対策は、高齢者の就労支援という文脈で、介護業界で働く高齢者を増やすことに効果を発揮しています。実際に、このケアワークパスポート研修をきっかけとして、働く意欲を高め、39名中13名(3分の1)が、介護業界に就職しています。

この論文では、今後の課題として、こうしたケアワークパスポート研修のようなものの広報活動をあげていました。より多くの地域で、より高齢者に届く形での広報ができたら、介護業界の人材不足を軽減しながら、働くことで健康を維持する高齢者を増やせる可能性があるからです。

日本全国で、ローカルには似たような活動はあります。ただ、今回のケースのように、自治体が主体となって、研修のみならず就労支援までの包括的なサポートを、のちの効果測定まで含めて行なっているところは少ないかもしれません。

国でプログラムの規格を統一し、テレビCMを

八戸市の取り組みのみならず、全国の似たような取り組みをそれぞれに分析し、国によるケアワークパスポート研修としてプログラムの規格を統一すべきかもしれません。その上で、政府広告として、テレビCMで、高齢者に対して、このプログラムを訴求させると理想的でしょう。

そうして、実際の研修は、ハローワークで、随時行なっているような形にすれば、介護業界で、かなりの労働力が確保できる可能性もあります。「ケアワークパスポート研修、全国のハローワークにお越しください」といったメッセージを打ち出せたら良いかもしれません。

介護業界の中で働いている人にとっては、介護業界の人手不足は、誰もが知っている当たり前の事実です。しかし、介護業界の外にいる人々は、意外なほどに、この事実を知りません。テレビCMでは、そうした日本の危機についても伝えることで、介護業界を直接・間接に支える人を増やすことにも貢献できるでしょう。

※参考文献
・天摩 雅和, 『高齢者の就労促進に関する一考察 ―介護人材発掘育成事業の取り組みから―』, 八戸学院大学短期大学部研究紀要 (48), 7-16, 2019-03-29

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