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要介護認定の前に、やれることがたくさんある

要介護認定の前に、やれることがたくさんある

「どうして、こんなになるまで・・・」

介護のプロたちのところに、介護支援の依頼がくるのは、介護をする家族が「もう限界」となってからというケースが少なくありません。介護のプロたちからすれば「どうして、こんなになるまで、支援の依頼がなかったのか」とショックを受けることもあります。

介護は、できるだけ早く、専門家の支援を受けることができれば、重度化を遅らせることができます。なので、介護の素人である家族が「もう限界」となるまで頑張れば頑張るほどに、返って、悪い結果になってしまうことも多いのです。

病気であれば「痛い」と苦しむ人を、いつまでも家族だけでなんとかしようとすることは少ないのではないでしょうか。しかし介護の場合は、自分たちでなんとかできると考えてしまう傾向が、どうしてもあるようなのです。

「そんな、大げさな」が危ない

最近、階段を上がるのが苦しそうという段階でも、介護のプロから見たら、十分に介護が必要という場合もあります。自宅でよく転ぶようになったといった場合は、すぐにでも、介護のプロに状況をみてもらうべきです。

介護の知識のない人にこうしたことをいうと「そんな、大げさな」という返事をもらうこともあります。しかし、それがもっとも危険なのです。できるだけ早く、心身の虚弱(フレイル)が認められた段階で手を打てば、本格的な介護を必要としなくてもすむ可能性が残されているのです。

本当は、要介護認定を受けて、要介護となった場合は、その前にやれたことがたくさんあるのです。例えば、よくあるケースとして、自宅で転んで大腿骨骨折をし、要介護になったとします。この場合は、骨粗鬆症の対策をして、自宅をバリアフリーにしておけば、転ばなかったかもしれないのです。

定年退職をしたらケアが必要

要介護認定をしてから介護が必要になるという考えは間違いです。介護という言葉が邪魔をしているところがあるので、これをケアと読み替えると、ケアは、定年退職をしたあたりから必要になります。

定年退職をすると(1)社会的なつながりが失われやすい(2)通勤がなくなり運動不足が進みやすい(3)健康診断を受けなくなり病気の早期発見が困難になりやすいといった、将来の要介護リスクにつながる条件が整ってしまいます。

ケアという意味では、定年退職は、ケア開始のきっかけとして重要なイベントなのです。本当は、介護のプロたちも、定年退職の直後くらいから、高齢者と関われたら良いと考えています。しかし、既存の介護保険制度では、介護のプロは、高齢者が要介護認定を受けてからしか関われないのです。

特定高齢者に認定される可能性を考えよう

要介護になる可能性が高いけれど、まだ要介護とは言えない段階でも「特定高齢者」として認定されれば、様々な介護予防サービスが無料かそれに近い価格で受けられます。定年退職をした親が、どうも元気がないという段階であっても、地域包括支援センターに相談してみてください。

そして、ここが重要なところですが「特定高齢者」には、介護のプロが関わってくれます。そうなれば、通常は要介護認定を受けてからになる介護のプロとの関わりが、ずっと早い段階で開始されます。結果として、介護の重度化を遅らせることにもつながるでしょう。

意外かもしれませんが、そうして介護のプロが提供してくれるのは、リハビリのような、身体的な機能保全のための支援だけではありません。むしろ、孤独な状態にならないようなケアが重要であり、そうしたケアがさりげなく提供されることの方が、高齢者の健康にとってインパクトがあったりもするのです。

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