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明治安田総合研究所が、認知症の介護に関する意識調査を行い、結果が報道されています。この意識調査は、40~64歳の男女12,000人を対象としたもので、結果としては未婚者の過半数(男性56.9%、女性54.3%)が「自分を介護してくれる家族は誰もいない」となりました。
2015年の(一番最近の)国勢調査では、50歳の時点で一度も結婚歴のない人は男性23.4%、女性14.1%でした。1990年には、男性5.6%、女性4.3%だったことを考えると、未婚率は急上昇していると言ってよいでしょう(50歳以降に初婚を経験する人は統計的に少ないので)。
この背景を考えることも大切ですが、生涯未婚を選ぶ人が増えるということ自体は、個人の選択でもあり、社会として受け止める必要があるでしょう。その上で、一つ大きな問題になり得るのは、生涯未婚を選択した人々の介護です。人数的にも増えるので、心配です。
「自分を介護してくれる家族は誰もいない」という人々は、自分自身に介護が必要になったとき、老人ホームへの入居を考えると思います。しかし、一般の老人ホームは、一時入居金だけで1,000万円を超えるケースも多く、毎月の支払いは25万円程度は考えないとなりません。
そうした中で、公的な老人ホームである特別養護老人ホーム(特養)は、毎月の支払いが10万円程度(もちろん場合によります)と格安で入居できる、希望となりえる老人ホームです。しかし、特養は入居待ちが多数になるのと、入居条件が厳しくなってきており、誰でも入居できるところではありません。
今後の日本の社会福祉財源の枯渇と合わせて考えると、生涯未婚を選択した人々の認知症介護についても、一つの形態として、社会レベルで考えていく必要のあるものでしょう。その時の軸となるのは、ACP(Advanced Care Planning)です。
ACP(Advanced Care Planning)とは、認知症などで、自らの意思表明が困難な状況になったとしても、自分の受けたい介護が受けられるようにするための計画です。できるだけ元気なうちに、ACPを作っておくことで、後々のトラブルを少なくできます。
こうしたACPは、現在の自分が、未来の自分を決めるという意味で、問題もあります。なぜなら、現在の自分と未来の自分が同じ価値観を持っているかどうかは不明だからです。また、未来においては、新しい介護法や治療法が確立される可能性もあり、それへの対応はACPではカバーしきれません。
それでもなお、これからますます増えていく「自分を介護してくれる家族は誰もいない」という人々にとっては、ACPはとても具体的で、不安を減らすことができる方法になり得ます。また、生涯未婚という人でなくても、自分の意思を表明しておきたい人も多数いるはずです。
※参考文献
・共同通信, 『家族介護「誰もいない」過半数 未婚40~64歳男女、意識調査』, 2019年4月4日
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