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メルカリで終活?

メルカリで終活?

終活(しゅうかつ)ブームの功罪

終活(しゅうかつ)とは、自分の人生の終わりに準備する活動のことです。生きているうちに、自分のお墓を建てるといったことは、比較的、昔からあった終活の一つでしょう。今では、終活の名の下で、遺言や葬儀の準備はもちろん、身の回りの整理まで行うことが普通になってきました。

古くは、こうした活動は「縁起でもない」とされ、あまり、世間では受け入れられませんでした。しかし、高齢化社会というのは多死社会でもあります。周囲の人が次々と亡くなるのが日常になってくると、準備をしておいた方が、後で迷惑にならないといった認識も広がります。

最近では、先祖のお墓さえ維持することができず、お墓の墓(墓石を集めて供養し、お墓を手放す)も増えてきています。自分が死んだら、そうした墓には入れず、散骨してもらいたいという意思表示もまた、終活という文脈の中で行われます。

こうした流れは終活ブームとして知られるようにもなっています。ただ、自らの死を受け入れるということには、個人差があります。本当は、まだ終活なんて考えたくないという人にとっては、大きなストレスにもなっていると考えられます。

アドバンス・ケア・プランニング(ACP)の難しさ

介護という視点からの終活と言えば、アドバンス・ケア・プランニング(ACP)が挙げられます。アドバンス・ケア・プランニングとは、何らかの病気になり、自らの意思表明が難しくなった場合(例えば認知症など)、どのような医療や介護を受けたいかという意思を、今のうちに表明しておくというものです。

このアドバンス・ケア・プランニングがあれば、意識が朦朧としがちな終末期にあっても、本人の意思が実行される可能性が高くなります。その意味では、アドバンス・ケア・プランニングは、もっと広く認識され、より多くの人が作成すべきものです。

ただ、終末期というのは、扱いが非常に難しいものでもあります。過去において「こうしてほしい」と考えたことが、今は違うということはありえます。例えば、健康なときは否定していた延命治療も、実際に終末期になると、それを求めるといったケースは、非常によくみられると言います。

こうしたアドバンス・ケア・プランニングの難しさからもわかる通り、元気なときに終活で決めたことは、いざとなれば、後悔する可能性もあるわけです。自らの人生の終わりについての考え方は、実際の終わりからの時間的な距離によって変化するという部分が、どうしても重要です。

段階的に難易度を上げていく方法として

難しいとはいえ、広い意味での終活は、少しずつでも進めていかないとなりません。特に認知症になることを前提とした場合、アドバンス・ケア・プランニングはもちろんのこと、周辺の整理についても、できるだけ早く進めておく必要があります。

そうした中、終活の開始として、敷居の低い入り口が話題になっているようです。意外かもしれませんが、オンラインのフリーマーケットとして成功しているメルカリに、高齢者が、整理したい物を出品し始めているというのです。

メルカリは、この流れを受けて、高齢者向けの出品セミナーを開催しているとのことです(朝日新聞, 2019年3月19日)。高齢者としては、身の回りの整理ができるだけでなく、ほんの少しですが、お小遣い稼ぎにもなります。後で捨てられてしまうなら、ほしい人に使ってもらった方が良いでしょう。

そうして身の回りを軽くしておけば、いざ、介護施設に入るといったときでも、身動きが簡単にできます。長年生きてきた分だけ、多くの物に囲まれているのも当たり前です。そうした物を整理しながら、自らの人生の終わりについて、少しずつ考えを深めていくのも、良いアプローチかもしれません。

※参考文献
・朝日新聞, 『メルカリで「終活」出品2.5倍 高齢者の利用が増える』,2019年3月19日

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