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台湾における介護の現状(外国人労働者の問題)

台湾における介護の現状(外国人労働者の問題)

台湾における介護の現状

台湾の人口は2,358万人(2018年)です。台湾に暮らす高齢者の数は293.9万人(2015年)なので、高齢化率は、だいたい12〜13%ということになります。日本の高齢化率は27.7%(2017年)ですから、台湾の高齢化率は日本の半分以下ということになります。

とはいえ、これから台湾も、急速に高齢化することがわかっています。2050年には、台湾の高齢化率は日本を抜かすと考えられているほどです。そこで台湾では、独自の介護保険制度の制定に向けた活動が行われています。

2015年には、将来の介護保険制度の基礎となる長期介護サービス法(長期照顧服務法)が公布されました。こうして介護保険制度の準備が進む一方で、台湾でもすでに30万人の高齢者が介護を必要としています。こうした高齢者は、介護保険制度の成立を待っていることはできません。

現在の台湾における介護の担い手は?

現在の台湾における介護の担い手は、まず「家族のみ」が60%で筆頭になります。台湾では、まだ、介護サービスが充実していないことが原因です。運よく、何らかの介護サービスを利用できているのは15%にすぎません。

残りの25%は、住み込み型の外国人労働者に頼っているというところが、現在の台湾の大きな特徴になっています。実は、こうした住み込み型の外国人労働者に介護を担わせるという方法は、香港、シンガポール、マカオなど東南アジアではよく見られるものです。

台湾における外国人労働者の出身国については、古いデータ(2003年)になってしまいますが、インドネシア(39.7%)、ベトナム(33.5%)、フィリピン(24.3%)となっています。多くは、貧しい地域で、地元では暮らしていけない状態にある人が、外国人労働者になります。

特に介護を担っている外国人労働者は、過酷な環境にあります。賃金が最低レベルということだけでなく、介護以外にも様々な家事を行なっており、多くは個人の部屋も与えられていないようです。しかし、仲介業者に借金をして台湾にきている人が多く、嫌でもやめられない状況があるようなのです。

当然、失踪者が出ます。2018年時点での外国人労働者は、失踪者は51,415人にもなります。こうして失踪してしまう外国人労働者は、介護を担う人ばかりではないので注意が必要ですが、とにかく、労働条件が厳しければ、失踪者が出るのは当たり前のことです。

介護保険制度はこの状況を改善するか?

2000年に介護保険制度を開始した日本では、ついに国内の人材だけでは介護保険制度を守れなくなり、外国人労働者の受け入れを開始しました。これはある意味で、介護保険制度を開始する前の台湾の状態に近づくことを示しているでしょう。

今後、日本の社会保障は急速に悪化していくことになりそうですが、その時、日本でも、住み込みの外国人労働者が登場してくる可能性があります。そうした環境はもはや、社会全体の劣化としか呼べないものでしょう。

これまで日本は、アジアに先駆けて介護保険制度を成立させ、その運用を行なってきました。色々問題はあるとはいえ、この介護保険制度に助けられた人は膨大な数に登ります。介護保険制度があったからこそ、不当な条件で外国人労働者を働かせる必要性も低かったのです。

しかし、そうした日本の介護保険制度も、いよいよ限界に近づいていることは、外国人労働者の受け入れによって明らかになりつつあります。何も手を打たなければ、ここ20年の日本を支えてきた介護保険制度が失敗に終わってしまいます。

※参考文献
・西下 彰俊, 『台湾における2つの長期介護プランの展開 : 外国人介護労働者の過酷労働及び高齢者虐待との関連で』, 現代法学 = Tokyo Keizai Law Review (36), 217-261, 2019-02-20

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