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仕事は、生活の糧を得るための手段として以上の意味があります。多くの人にとって、仕事は社会との接点であり、生涯学習の現場であり、新たな出会いのきっかけを得るところでもあります。そうした仕事から引退してしまうことには、様々な健康リスクがあります。
生涯現役であることは、生活のための資金不安が少なくなるという点も見逃せません。不安の少ない生活は、当然、精神的な健康にとって重要です。現役を引退すれば悠々自適ということはなく、実際には退屈で不健康な状態に陥りやすいのです。
そうした認識が広がりつつあるからか、70歳を超えても働きたいという人が増えてきています。最新の調査では、3割の人が、70歳を超えても働きたいそうです。もちろん、この背景には、老後の蓄えが足りないという理由もあるでしょう。ただ、いかにその背景がネガティブなものであっても、現役でいることのポジティブな意味は見逃せません。
このような流れがある中、年金の支給開始を遅らせるという選択肢が広がりそうです。通常の65歳から年金をもらうのではなく、75歳からもらうことに決めた場合、もらえる年金が約2倍(186%)になるという制度が、2020年ごろには成立する可能性が出てきたのです。
統計的に考えると、年金の支給開始を75歳以降にした場合、生涯でもらえる年金の総額は低くなる可能性もあります。ただ、もらえる年金の総額が少なくなっても、より将来不安が少なく、健康でいられる選択であるならば、検討するに値するでしょう。
日本では、そもそも高齢者の定義として、これまでの65歳から75歳にしようという動きもあります。この背景には医学的な視点のみならず、国の財源の視点や社会的な価値観の視点もあります。全体としては、概ね、納得できるものになっています。
年金の財源に不安があることは、誰もが知っていることでしょう。極端には、将来的には年金がもらえなくなるといった意見もあるほどです。こうしたことから、このままでは、年金の支給開始は、強制的に後ろ倒しされていく可能性も否めません。
こうした変化が、強制的に行われると、社会不安が大きくなってしまいます。しかしそれが、国民の自然な選択として行われた場合は、社会不安はむしろ減るかもしれないのです。そう考えると、今回の制度変更は、それに賛同する国民がどれくらいいるかがもっとも重要な点になりそうです。
この賛同の割合には、65〜74歳の間に、職を維持できるかどうかが大きな影響を与えるでしょう。また、そうして維持される職の質も重要です。期待されるのは、この年代の人が、人材不足が深刻な介護業界で働く人が増えることです。そうした都合のよい結果になるかどうか、これからの動きに注目です。
※参考文献
・日本経済新聞, 『年金開始、75歳も選択肢 厚労省検討 毎月の受取額は2倍、高齢者就労の呼び水に』, 2019年1月26日
・日本経済新聞, 『「70歳以上まで働く」3割 郵送世論調査 老後に不安も』, 2019年1月21日
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