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いよいよ、日本の社会保障の財源不足が顕在化してきています。税収は簡単には増えないのに、介護を必要とする高齢者が急増しているからです。そのしわ寄せは、介護をする家族の負担増として現れてきます。本来であれば受けられるはずの介護サービスが受けられないという状況が、実際にあるからです。
そうした状況を少しでも緩和するために、家族だけでなく、地域全体で介護を行っていくということが、様々なところで叫ばれています。ただ、こうした提案は、実際に介護に苦しんでいる人々からすれば、あまりにも虚しく響きます。
介護に苦しんでいる人々が求めているのは、負担の軽減につながる支援です。それは(1)誰が(2)何を(3)いつ行ってくれるのか、ということに具体的に答えているものでないと、意味がありません。地域全体で行うというのは、この3つの問いのどれにも答えていません。
介護の支援をすることになった人は、その介護でなにか問題が発生すれば、それなりの責任を問われます。介護にはかなりの専門性が求められるということは、自分が責任を持てば、すぐにわかることです。たとえば、糖尿病の人向けに、栄養バランスに優れた美味しい食事を作れるでしょうか。
そもそも、地域全体での対応が難しいからこそ、介護保険制度が整えられ、介護の専門性を身につけたプロを養成してきたわけです。責任の所在を明らかにして対応してきた介護から、責任の所在が不明の、顔の見えない介護にしてしまって、本当に機能するのでしょうか。
日々の仕事だと思ってください。社長が「全社員一丸となって課題を解決しろ」と命令をする会社で、なにが起こるでしょうか。いまどき、そんな会社はないはずです。課題を解決するには(1)誰が(2)何を(3)いつまでに行うのか、ということがリスト(課題管理表)として管理される必要があるからです。
このままでは、介護保険制度が夢見た理想は後退し、日本の介護は悪化していきます。その結果として、介護離職はもちろん、虐待や介護殺人も増えていくことが予想されます。介護離職をした人は、ミッシングワーカーとなり、国の税収はさらに痛んでいくことにもなるでしょう。
これは、どこかの不幸な誰かの話ではありません。私たち自身の話であり、みんなの将来です。誰にも助けてもらえない介護は、控えめに言っても、人生を破壊してしまうほど大変なものです。介護の前から、そうした恐ろしい介護の準備ができている人は、ほとんどいません。
震災であれば、非常食をはじめとした防災グッズを準備し、避難訓練もしていることでしょう。ではなぜ、介護については無関心なまま、破滅の未来をそのまま受け入れようとしてしまうのでしょう。地域全体が、それを助けてくれるということがあれば、それでいいのかもしれませんが・・・。
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