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日本は、昨年より、前期高齢者(65〜74歳)よりも、後期高齢者(75歳以上)のほうが、人数的に多い時代に突入しています。世界史でも前例のない、超高齢化社会が、世界に先駆けて、この日本で生まれているわけです。
アクティブシニアと呼ばれるような、高齢者と呼ぶにはふさわしくないように思われるのは前期高齢者です。いかに元気にみえても、後期高齢者になると、心身に様々な課題をかかえ、要介護状態になる確率も一気に上がります。
横並主義で、前例主義の日本といっても、こと高齢化社会については、日本がトップを走っているのですから、真似をする他国がありません。そもそも人類史上はじめてのことですから、わからないことばかりというのが実情です。
そうした中、予想されてはいたものの、高齢者をターゲットとした組織的な強盗が誕生してしまっています。相手が後期高齢者であれば、留守宅の空き巣ではなく、在宅中に押し入っても、力でねじ伏せることが簡単だからでしょう。以下、産経新聞の記事(2019年1月11日)より、一部引用します。
11日午前5時半ごろ、東京都渋谷区初台の住宅に強盗が入ったと110番通報があった。警視庁代々木署によると、同2時半ごろに3人組の男が住宅の玄関から押し入り、住人の高齢夫婦を縛って現金や宝飾品などを奪って逃走したといい、90代の夫が顔に軽傷を負って病院に搬送された。
人数が多いことや、玄関から押し入るという手際から、この犯行は、はじめから人がいる家に押し入る計画性があったことを感じさせます。玄関から押し入ったのは、ピッキングなど、外から鍵を開ける技術も持ち合わせていたということでしょう。おそらくは、プロによる犯行でしょう。
犯罪組織からすれば、本来、こうした押し入り強盗は、リスクの高い犯罪であり、回避したい選択肢です。住人から反撃を受けて返り討ちになる可能性もありますが、それ以上に、住人に姿を見られてしまうことが、後に逮捕される確率を上げるからです。
今のところ、高齢者を狙った犯罪と言えば、置き引きのような窃盗と詐欺が中心になっています。ただ、今後は、こうした押し入り強盗が増えていくことが予想されます。高級住宅街の一軒家を狙っていけば、1度の犯行で多くの見入りが期待できてしまうことも、この流れを後押ししてしまいそうです。
そもそも高級住宅街は、空き巣を警戒して塀を高くしていたり、セキュリティーを強化しているものです。しかし、押し入り強盗に対してはどうでしょうか。玄関から押し入ってきて、住人を縛り上げるような犯行に対しては、意外と無防備である可能性もあります。
外出時に、誰かが自宅に侵入した場合に警報を鳴らすような仕組みは、高級住宅街の家であれば、備わっていることもあるでしょう。しかし在宅時には、そうした警報のスイッチはオフになっているはずです。また、家の外は監視カメラで撮影していても、室内にまで監視カメラをつけている家は少ないと思われます。
すぐにでもやれる対策としては、セキュリティーのための室内の緊急ボタン(それを押したら誰かが来てくれるような仕組み)を増やすことでしょう。お金はかかるかもしれませんが、そうしたボタンが設置されていなかったがために、強盗に財産を持っていかれるよりはましです。
高齢者は、自宅に現金を置いているという点も、危険です。金庫などは、空き巣には威力を発揮しても、金庫を開けろと要求してくる強盗には効果がありません。特に後期高齢者は、金庫の中身を減らしておくしかないでしょう。また、金庫ではなく、タンス預金のような形で、現金を分散しておくことも大事かもしれません。
※参考文献
・産経新聞, 『高齢者宅に緊縛強盗、現金など奪い逃走 東京・渋谷』, 2019年1月11日
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