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独居の高齢者、2035年には841万人に?

独居の高齢者、2035年には841万人に?

独居の高齢者は、2035年には841万人へ

高齢者の独居は、特に、定年退職をしていたりすると、孤独につながりやすい深刻な話です。孤独は、喫煙や肥満よりも健康に悪く、寿命を縮めてしまうばかりか、要介護状態になる可能性も高めてしまう社会問題です。イギリスでは、これに対して孤独担当大臣が設置されているほどです。

しかし、こうした高齢者の独居は、今後、加速度的に増えてしまうというのです。その数は2035年時点で841万人と、人口の1割に近づくような勢いです。以下、J-CASTウォッチの記事(2018年10月28日)より、一部引用します。

国立社会保障・人口問題研究所が発表した「日本の世帯数の将来推計(全国推計)」によれば、2035年に独居老人は841万人にまで増加する。1980年には88万人しかいなかった独居老人は10倍に膨れ上がり、約4割の高齢者が独居老人となる。

この背景には、男性の独居老人の増加がある。女性高齢者の独居率は、2000年に17.9%。15年に21.8%と増加し、40年には24.5%と推計されており、比較的に緩やかな増加傾向をたどる。ところが、男性の独居率は2000年に8.0%だったものが、15年には14.0%に、40年には20.8%に増加すると推計されている。(後略)

男性の独居のほうが危険?

男性の孤独死は、女性の約2倍にもなるという調査があります。背景を一概に決めつけることはできませんが、仮説として、男性のほうが女性よりも新たな社会関係の構築が苦手というものがあります。

また、生涯誰とも結婚しないという生涯未婚率が、急速に上昇していることも気になります。男女ともに、この生涯未婚率は上がっているのですが、特に断線は、4人に1人が生涯未婚(この割合は女性よりも10%程度高い)という時代に突入しています。

生涯未婚であって、特に、社外でなんらかの趣味の活動などで仲間を持たない場合、定年退職のリスクは相当なものになってしまうでしょう。どうしても、定年退職というイベントの前後から、なんらかの社会的なケアが求められるのです。

より気軽な社会参加への「誘い出し」がカギになる

孤独への対応としては(1)孤独の特定(2)誘い出し(3)場への参加、といったステップが必要になります。この中で、もっとも困難と考えられているのは「誘い出し」です。孤独の特定や、誰でも参加できる場というのは、ある意味で余っています。問題は、引きこもりがちな人を、社会の場に「誘い出す」という部分なのです。

もちろん、自宅に引きこもることも、自分の選択であって、尊重されるべきことです。同時に、それは社会的なリスクにもつながっているし、いったん深く引きこもってしまうと、出てこれなくなるといったことも理解される必要があるでしょう。

相手の尊厳を尊重しながらも、引きこもりから抜け出したいと考えている人に手をさしのべる技術やノウハウは、一部の社会福祉関係者の中でしか共有されていません。この部分については、場合によっては義務教育に入れてもよいほどに、大きな社会問題の改善につながっていると思います。

※参考文献
・J-CAST ウォッチ, 『2035年、独居老人841万人の衝撃 孤独死の発見者は誰だ!?(鷲尾香一)』, 2018年10月28日

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