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介護のプロ(介護職)は、5K(危険、汚い、きつい、臭い、給料が安い)とも言われる、厳しい労働環境で、日々がんばっています。同時に、そうした厳しい環境が、いつか改善されることに希望ももっています。しかし、そうした希望は、長いこと実現していないどころか、悪化しているイメージさえあります。
そうした中、介護職の労働環境に関する、日本介護クラフトユニオンによる大規模な調査(対象4,302人、有効回答数2,994人)がニュースになっています。以下、朝日新聞の記事(2018年9月18日)より、一部引用します。
月給制で働く介護職員の14%が介護の仕事を辞めたいと思っている――。介護職員らの労働組合「日本介護クラフトユニオン」の調査で、こんな実態がわかった。2年前の前回調査から1・5倍近く増えた。(中略)
「この仕事を続けたいか」との問いに、「介護業界以外の仕事をしたい」と答えたのは、月給制で14・3%で、前回調査の9・7%から上昇。時給制でも10・1%で、前回6・9%を上回った。
「今の会社で続けたいと思わない理由」を、「介護業界以外の仕事をしたい」「介護業界の違う会社で続けたい」「(どの業界であっても)働きたくない」と回答した人たちに、複数回答で尋ねたところ、「賃金が低い」と答えた人が月給制で56・5%、時給制も51・0%と最多だった。(後略)
介護職の賃金(待遇)に関する問題は、すでに、国は正しく把握しています。その把握の上で、介護職の待遇改善に消費税増税(2019年)から1,000億円を拠出することや、勤続10年を超える介護福祉士に月給8万円程度の待遇改善をすることなどが検討されてきました。
こうした努力は、それなりに評価されているものの、介護職の根本的な待遇改善には、まだまだ程遠いのが実情です。これだけの対策をしたとしても、介護業界の待遇は、日本の全63業界中で、最下位という状態を脱することができない可能性が高いからです。
国としても、なんとかしたいと考えています。しかし、高齢化によって、医療や介護のために必要になる費用が急増しており、社会保障費の財源が足りなくなってきているのです。医療と介護は、その「売上」のほとんどを、社会保障費(公費)に頼っています。ここが増えないと、介護職の人件費も改善できないのです。
本来であれば、社会保障費の財源が改善することが大事です。しかしそのためには、日本全体の景気が上がり、日本の平均所得が改善し、結果として大きな税収の改善が必要です。ただ、そのようなことが起こるのを待っていたら、介護業界から人がいなくなってしまいます。
介護事業者としては、こうした本質的な改善を待っていることはできません。なんとか、自力での改善をするためには、社会保障費(介護保険)に依存しない、保険外サービスの拡充が急務になってきます。
この具体的な一つの案としては、介護メディア「みんなの介護」での連載第6回に投稿しています。これは、介護事業者が物流の一部を担うというモデルです。よろしければ、そちらも読んでいただけたら幸いです。このモデルを本気で検討したい介護事業者は、個別にご連絡いただきたいです。よろしくお願いします。
※参考文献
・朝日新聞, 『「介護職やめたい」2年前の1.5倍に 低賃金が背景か』, 2018年9月18日
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