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総人口は27万人減ったものの、高齢者は44万人増えました

総人口は27万人減ったものの、高齢者は44万人増えました

総務省の人口推計の発表

9月15日、総務省は日本の人口推計を発表しています。その結果は、総人口が27万人減って、高齢者は44万人増えたというものでした。今後もしばらくは、より多くの人口減少と、高齢者の増加というニュースが続きます。

日本の総人口に対する高齢者は、全体の28.1%であり、これは世界でも最高です(2位のイタリアが23.3%)。今後も、日本は世界でもっとも高齢化した国としての地位を続けていくことになります。その意味で、世界は日本に注目しています。高齢化の現実を、日本が世界に示すことになるからです。

当然、これには2つの意味があります。反面教師とすることと、手本とすることです。少しでも世界の手本となるような仕組みを海出せれば、それが輸出産業となり、日本はよくなります。しかし世界の反面教師となってしまうとき、そこには目を覆いたくなるような悲惨が横たわることになるでしょう。

人口が減るとはどういうことか

人口が減るということは、これまで過疎だったところの過疎はさらに進むということです。2050年までには、いま人が住んでいるところの19%が、誰も人が住んでいない無居住地になります。2010年との比較として、人口が半分以下になる地域は63%もあります。逆に、人口が増えるのは、一部の都市部で、それは2%にすぎません。

人口が減ると、人口に依存したビジネスや公的サービスは、その地域から撤退していくしかありません。大型商業施設はもちろん、コンビニや病院、薬局、そして介護施設もまた、そうした地域から消えていきます。橋やトンネルといったインフラも、維持することができなくなっていきます。

外国人観光客(インバウンド)が増えているとはいえ、宿泊しない地域には、あまりお金が落ちません。そもそも宿泊施設が疲弊していたり、収容人数が小さかったりすれば、人口減少には焼け石に水です。そして、ここから人口が回復することはありません

自治体はお金の使い方を見直す必要がある

自治体は、こうした人口減少を視野にいれつつ、古き良き時代への懐古ではなく、現実的な縮小政策をつくっていく必要があります。しかし現実には、地域活性化という名の下に、よくわからない予算が使われ続けているのは、広く知られている通りです。

たしかに地域活性化は重要です。しかし、問題はその中身です。海士町や紫波町のように、本当に地域活性化に成功していると言える事例は、それほどないのが現実です。そうした成果が評価されないままに、大切なお金が、どんどんなくなってきているというのが、自治体の現実でしょう。

地域活性化のKPIは、その地域に暮らしている人々の平均年収の向上です。それが実現されないままに、いくら献身的な活動があっても、衰退の速度は加速こそすれ、減速することはないのです。その地域で十分に稼ぐことができ、その稼ぎが税金となるわけで、この本質を無視した地域活性化はないのですから。

※参考文献
・テレ朝ニュース, 『日本の総人口は27万人減少 65歳以上は44万人増加に』, 2018年9月16日
・国土交通省, 『国土のグランドデザイン2050 参考資料』, 平成26年7月4日

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