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認知症の原因となる病気には多数のものがあるのですが、その中でも、アルツハイマー病を原因とするものが、全体の6割を超えることが知られています。そのためアルツハイマー病は、認知症の代名詞として、社会的な認識を得ています。
アルツハイマー病を原因とする認知症(アルツハイマー型認知症)は、一般に、記憶力の低下としてはじまります。日付や曜日、居場所などもわからなくなり(見当識障害)、慣れ親しんだ作業もそのやり方がわからなくなったり(実行機能障害)もします。
このアルツハイマー病には、根本治療はありません。しかし早期に発見できれば、薬や生活習慣の見直しによって、その進行を遅らせることまでは可能です。このため、安価で簡単な方法で、アルツハイマー病の診断ができれば、多くの人が救われるのです。そうした状況に、ユニークな可能性が出てきました。
アルツハイマー病が、簡単な目の検査によって早期発見できるかもしれないというニュースが入ってきました。これが本当であれば、画期的なことです。以下、AFPの記事(2018年8月24日)より、一部引用します。
目の検査の技術向上により、アルツハイマー病の症状が現れるかなり前に医師らが患者に診断を下すことが可能になる日が来る可能性があるとの研究論文が23日、米国医師会(AMA)発行の医学誌「JAMA眼科学(JAMA Ophthalmology)」に発表された。
論文によると、研究チームは大半の眼科医院ですでに利用されているのと同類の検査機器を用いて、調査参加者が30人の小規模なサンプル集団でアルツハイマー病の兆候を検出したという。(中略)
英研究機関「アルツハイマー・リサーチUK(Alzheimer’s Research UK)」のサラ・イマリシオ(Sara Imarisio)氏は「今回の研究で用いられた目の検査法は、比較的手早く実行でき、安価で、体に負担がかからない」と指摘した。(後略)
こうした技術が確立すれば、アルツハイマー病は、一般の健康診断でも早期発見できるようになるかもしれません。それは素晴らしいことですが、一方で、自分に認知症のリスクがあると知ってしまう人も増えるわけです。そこへの精神的なケアも、より多く求められるようになっていくでしょう。
これは、ガンの告知が困難だった日本の過去に学ぶことができるかもしれません。かつての日本においては、ガンになった患者に対して、その事実が告げられることは少なかったのです。自分がガンであることを知ることで、かえって患者の気力が弱ってしまう可能性が問題視されていたからです。
これと同じように、自分がアルツハイマー病であるという事実を(早期の段階で)知ることは、かなりの精神的負担になりそうです。その事実をどのように告知するべきか、告知と合わせて、どのような支援を準備するべきか、そうしたソフト面についての準備も大切になってくることでしょう。
※参考文献
・AFP, 『目の検査でアルツハイマー病早期発見の可能性、米研究』, 2018年8月24日
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