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イギリスでは、今年から、孤独担当大臣が活動をしています。増え続ける孤独と向き合い、孤独を少しでも減らすことを目的としています。まずは以下、朝日新聞の記事( 2018年1月18日)より、一部引用します。
英国のメイ政権は17日、新たに「孤独担当相」を設置した。人口6560万人の英国には孤独を感じている人が900万人以上いるとされ、友人や親戚と1カ月以上会話していないお年寄りは約20万人と報告されている。今後、研究や統計を踏まえ、孤独をなくす政策を練る。(中略)
メイ首相は「あまりに多くの人たちにとって、孤独は現代における悲しい現実だ。この課題に向き合い、お年寄り、介護者、愛する人を失った人、考えや経験を分かち合う相手がいない人たちが抱える孤独に対処するため行動したい」と話した。(後略)
米ブリガムヤング大学の研究グループは、人間の寿命に対して最も悪影響があるのは孤独であるという論文を発表(2015年3月)しています。孤独によって健康を害してしまう人が増えると、国の医療費や介護費が大きくなってしまい、社会福祉も悪化します。孤独はもはや、個人の問題ではなく、社会的な問題だということです。
先のニュースでは、イギリスでは他者と1ヶ月以上会話をしていない高齢者は約20万人とのことでした。日本でもにたような調査があり、その結果は、独居高齢者の男性7人に1人(15%)が、2週間以上、誰とも会話をしていないことがわかっています。
イギリスの、大臣まで設置する取り組みは「孤独は非常に大きな問題」という社会的な認識の現れでしょう。日本も、孤独を放置しようとはしていないものの、イギリスほどには、孤独の恐ろしさが認識されていないように思われます。そろそろ日本も、イギリスにならって、孤独に対して真剣に取り組む必要があるのではないでしょうか。
日本の社会福祉のための財源は枯渇してきています。いまから、これを立て直すことは困難で、今後は、日本の社会福祉の倒壊とも言えるような状況が顕在化してくるでしょう。そうした中で、孤独への対応は、非常に大きな意味を持ちます。なぜなら、孤独を減らす活動に必要なのは人間同士のつながりであって、上手に進めれば、国のお金が(あまり)かからない活動だからです。
孤独を減らす活動が、日本の社会に根付けば、社会福祉のための財源が足りなくても、健康でいられる人が増えると考えられます。その効果を証明するようなデータは乏しく、具体的にどれだけの効果が見込めるのかを算出するのは困難です。しかし、もはやそれくらいしか、有効な対策は残されていないというところが厳しいのです。
日本と同じように、これから高齢化に苦しむことになるイギリスの取り組みには、学ぶべきところが大いにあるでしょう。孤独は、研究者の研究テーマとしても有望だと思われます。これからの日本は、お金はないけれど、幸福度はそれほど低くない国を目指していくことになるのです。
※参考文献
・朝日新聞, 『英国、孤独担当大臣を新設 900万人以上孤独、対策へ』, 2018年1月18日
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