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介護職の7割以上がハラスメントを受けている

介護職の7割以上がハラスメントを受けている

介護現場における大きなリスク

介護現場で働く人々にとって大きなリスクは、要介護者やその家族からハラスメントを受けることです。過去、KAIGO LABでも、セクハラを受けたことがある介護職が3割というニュースを取り上げています。これは、介護現場における深刻な人手不足を考えると、非常に大きな問題です。

ハラスメントというくくりでいうと、セクハラだけでなく、パワハラも大きな問題です。ここで、セクハラとパワハラを合わせた統計が報道されました。以下、日本経済新聞の記事(2018年7月3日)より、一部引用します。

介護職員の約7割が、利用者やその家族から暴言や暴力、性的な嫌がらせなどのハラスメントの被害に遭っていたことが、介護職員でつくる労働組合「日本介護クラフトユニオン」の調査で分かった。職場の上司に相談しても状況が変わらないケースも多く、同ユニオンは対策の必要性を訴えている。

調査は2018年4~5月に同ユニオンの組合員約7万8千人を対象にし、2411人が回答した。1790人(74%)が「ハラスメントを受けたことがある」と答え、そのうち94%が利用者に暴言などパワハラ、40%がセクハラにあたる行為を受けていた。(中略)

こうした被害に遭った介護職員の多くが強いストレスを感じており、精神疾患になった人もいた。パワハラ、セクハラともに、被害に遭った約8割の職員が上司や同僚などに相談をしていたが、そのうち4~5割が相談後も状況が変わらなかったと答えていた。(後略)

高齢化にともなうことだから仕方がないのか?

感情の抑制がきかなくなるというのは、高齢化にともなってみられる傾向であり、それ自体は(いまのところは、ほとんど)防止しようがないことです。この延長で、いわゆるクレーマーと呼ばれるような人が要介護者の中にも少なからずいるのも事実です。

とはいえ、介護職が危険にさらされるのをそのままにしておくことはできません。ただ、こうして問題になる高齢者は、ひとくくりにはできません。中には、きちんと指摘すればやめてもらえる高齢者もいれば、、悪質なハラスメントを繰り返し行うような高齢者も含まれています。こうした高齢者を同列に扱うことはできないでしょう。

悪質なハラスメントを繰り返してしまう高齢者への対応は、介護現場だけでなく、社会全体のリスクです。このような高齢者は、素人が監視しても、どうにもならないでしょう。国として法整備も行いながら、具体的な対応を決めて、実行していく必要があります。

介護業界としても、社会に訴えかけていくべき

介護業界としても、社会の側が、この問題に真剣になってくれるのを待っているべきではありません。介護事業者という単位では、こうしてハラスメントを行う要介護者やその家族も顧客であり、なかなか簡単には対処できないという弱みもあります。だからこそ、介護業界全体で対処していかないと、問題は改善しにくいのです。

もはや、誰にも相手にされなくなるほどにハラスメントを繰り返してしまうような高齢者でも、介護が必要になるときがあります。そうした高齢者が持っているリスクを、ただ、現場で働く介護職に押し付けることは、あまりにもひどすぎます。

同じ問題は「キレれやすい高齢者」といった文脈で、様々なところで見かけるようにもなりました。これは完全に社会問題であり、社会問題としての認識が広がっていく必要があります。ここが正常化されていかないと、介護業界の人手不足も改善していかないでしょう。

※参考文献
・日本経済新聞, 『介護職員、7割がハラスメント経験 労組調査』, 2018年7月3日

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