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難病患者への助成がカットされる・・・なぜそこからなのか?

難病患者への助成がカットされる・・・なぜそこからなのか?

難病患者への助成金カットで15万人に影響が・・・

何事もそうですが、問題は、それが軽いうちから対応することで、重度化を避けることができます。特にヘルスケアという文脈では、こうした早期対応が非常に重要なことになるのは常識でしょう。そうした中、軽度の難病に対する医療費の助成金がカットされています。以下、毎日新聞の記事(2018年6月19日)より、一部引用します。

難病患者への医療費助成制度の変更に伴い多くの軽症者が対象から外れた問題で、加藤勝信厚生労働相は19日の閣議後記者会見で、今年1月から助成がなくなった患者は約15万人に上ると明らかにした。経過措置で助成を受けていた人の約2割に相当するという。

2015年の難病法施行で、国は医療費助成の対象疾患を拡大する一方、軽症者を原則対象外とした。同法施行前から助成を受けていた患者には経過措置として昨年12月末まで病状の軽重に関わらず助成を続けていたが、毎日新聞の調査では今年1月以降、少なくとも39府県で約5万6000人の助成継続が認められていなかった。(後略)

コストカットの順番が違うのではないか?

確かに、日本の財政は危機的状況にあり、コストカットが必要です。そもそも、国を運営する上で必要な様々な行政サービスのコストは、年収900万円くらいの人ではじめてトントンになります(担税力)。現在の日本の平均年収はこの半分程度しかありませんから、今の日本は、ただ国を維持するだけで赤字という状態なのです。

そうした現状を受けて、現在、いろいろなコストカットが進んでいるわけです。ヘルスケアにかかる費用もまた、今後、コストカットのターゲットになっていくことは明らかです。問題は、それが難病患者への助成金というところからなのか、という部分です。

そもそも、難病患者に代表されるようなマイノリティーを守ることは、社会福祉の理念でもあります。そして先にも述べたとおり、軽度の状態への対応を怠れば、いずれは重度化して、かえって公費がかかる可能性も高いのです。

まずは高齢者を一律で弱者とする社会福祉のあり方から

高齢者の中には、現役世代以上に稼いでいたり、巨額の資産を持っている人もいます。こうした高齢者と、本当にお金に困っている高齢者を、一律、社会的弱者として扱っているのが、今の日本です。特に現役世代が高齢者になると、医療費の自己負担が一律で下がるという部分は、すぐにでも修正が必要でしょう。

社会福祉の維持には、お金のあるところから財源を確保し、お金のないところに流すというシステムが大事になります。そうして、お金のあるところからの財源に手をつける前に、お金のないところに流すお金をカットするというのは、どう考えてもおかしな話ではないでしょうか。

難病患者への医療的な助成金のカットをする前に、本当にできることはもうないのでしょうか。高齢者の交通費を助成する敬老パスなど、見直せばかなりの財源につながるような話も散見されます。今一度、社会福祉とは何かというところから議論をして、その中身について考えていく必要があります。

※参考文献
・毎日新聞, 『難病患者 医療費助成外れは15万人 加藤厚労相明らかに』, 2018年6月19日

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