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75歳以上の高齢者はアクセルとブレーキを踏み間違える?ワンペダルの普及を考えるべきだ

75歳以上の高齢者はアクセルとブレーキを踏み間違える?ワンペダルの普及を考えるべきだ

自動車による死亡事故は年々減ってはいるものの・・・

今年はじめの前橋事故を受けて、高齢ドライバーの免許返納問題は、社会的な関心を集めています。ただ、運転をしないと生活できないような地域もあり、免許返納による高齢者の生活不活発病(廃用症候群)も懸念されます。本当に難しい問題です。

ただ昨年度は、自動車による死亡事故は、昨年度3,694人と、交通事故統計をとり始めたとなった1948年以降でもっとも少ない数字となりました。件数だけでみれば、高齢ドライバーによる死亡事故も、前年よりも減少しているのです。ただし、こうした死亡事故に占める高齢ドライバーの割合は増えていますので、やはり問題があります。

いかに自動車が技術的に安全になってきているとはいえ、特に75歳以上の高齢ドライバーは、操作ミスによる事故を起こしやすいことがわかっています。そうした操作ミスの中でも特に、アクセルとブレーキの踏み間違いは、75歳以上の事故における操作ミスの6.2%なのに対して、75歳未満では0.8%なのです(産経ニュース, 2018年)。

75歳以上になると、アクセルとブレーキを踏み間違える確率が7倍以上に高まるということです。この背景には、老いによる身体能力の衰えもあるでしょう。同時に、アクセルとブレーキの構造にも問題があるのではないかと考えるべきところです。

そもそもアクセルとブレーキの構造には問題がないのか?

先にも述べたとおり、日本では、死亡事故を含めて、交通事故は減少しています。2000年の約82万件は、2009年に約65万件にまで減っているのです。ただし、この同じ期間において、アクセルとブレーキの踏み間違いは、6,436件から6,577件に増えています。

九州大学名誉教授の松永勝也氏によれば、オートマ(AT)車のアクセルとブレーキの構造には運動生理学上の問題があると言います(ダイヤモンドオンライン, 2017年)。では、これを解決する手段はないのでしょうか。実は、ずっと以前からワンペダル(ナルセペダル)という解決策が存在しているのです。以下、動画を見てください。

これを既存の自動車に取り付ける場合、20万円程度になります。こうした「踏めば必ず止まる」という構造が、どうして、新車に搭載されないのでしょう。消費者としては、別にこの商品でなくても構いません。自動車メーカーがアクセルとブレーキを間違えない構造を独自に開発し、新車に搭載してくれれば良いだけなのですが・・・。

助成金を検討すべきではないだろうか

こうした、アクセルとブレーキの踏み間違いを防止するような改造には、国として助成金を出すべきではないでしょうか。先のワンペダルを開発した企業のある熊本県玉名市は、実際に、市民がワンペダルを車に取り付けることに助成金(1台あたり5万円)を出しているそうです。

現在の日本には、首を傾げたくなるような事業に助成金が出ていたりします。特に地域活性化のような事業には、その成果が問われないままに、巨額の助成金が流れています。そうした事業も大事かもしれませんが、人命のほうがもっと重要だと思います。

世界に先駆けて高齢化が進んでいる日本だからこそ、こうした技術の普及を後押しし、輸出産業に育てていくべきです。それがワンペダルであってもなくても、とにかく、アクセルとブレーキの踏み間違いは、技術によってかなりの程度解消されるはずなのです。そうした技術が、日本から世界に出ていくことを強く望みます。

※参考文献
・産経ニュース, 『高齢者の操作ミスは75歳未満の2倍 交通安全白書を閣議決定 昨年の死者は過去最少』, 2018年6月15日
・日経ビジネス, 『なぜ「アクセルと踏み間違えないブレーキ」が普及しないのか』, 2014年2月10日
・ダイヤモンドオンライン, 『AT車暴走事故防止の決定打「ナルセペダル」が普及しない理由』, 2017年6月7日

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