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国の社会保険財源が危機的状況にあります。それを受けて、介護保険法の改正によって、受けられる介護の範囲が狭くなっています。その影響の一つとして、過去に『軽度者ほど必要な介護サービスが受けられない?日本の限界が浮き彫りになってきた・・・』という記事でまとめています。
この記事で指摘したリスクが、顕在化してきているようです。日本から、軽度の介護サービスを担う介護事業者がいなくなってきているのです。以下、YomiDr.の記事(2018年5月15日)より、一部引用します。
比較的元気な高齢者に介護予防サービスを提供する事業所のうち、事業から撤退する意向を示したケースが、4月時点で4割の市区町村にあることが、厚生労働省の調査でわかった。(中略)
要支援の人向けのサービスは2014年度まで介護保険で提供され、事業所への報酬も全国一律だったが、制度改正で、一部のサービスを15~17年度に市区町村の事業へ移行。サービスや報酬を市区町村が決める仕組みとなった。事業所の撤退は、市区町村が報酬を引き下げたことが影響したとみられる。
このままだと、親に軽度の介護が求められる人が、介護離職してしまう近未来が発生してしまいます。軽度とはいえ、実際にはかなりの支援が必要で、その負担を分散できない人(独身者、兄弟姉妹がいない、子育て中など)は、仕事との両立は厳しくなります。
親の健康状態が悪化し、介護が重度になると楽になるという図式は、どう考えてもおかしな話です。しかしそれが現実になっているのは、介護保険制度の設計上の問題なのです。しかしその設計に問題があるとはいえ、設計を変えればよいという単純な話でもありません。
この真の原因は、日本の高齢化が進みすぎており、高齢者福祉のための財源が枯渇していることにあるからです。お金がないのですから、これ以上は無理な話です。もちろん微調整はできるでしょうが、そうした微調整にも膨大なコストがかかります。
国に期待するばかりでは、もはや、自分の人生設計ができない時代だということです。年金も足りないでしょうし、必要な介護も介護保険ではカバーしきれないでしょう。普通に生きるだけでも大変で、かなりの預貯金がないと、どこかで絶望的な状況になってしまいます。
嘆いても仕方がないので、それぞれに生活規模を見直し、自衛していくことが求められます。副業もしやすい社会になってきたので、いろいろな勉強をして、副業をはじめることも重要でしょう。そして何より、困ったときに助け合える友人や家族との関係を大事にしていく必要があります。
それこそ、江戸時代の社会福祉のありかたなどを参考にしていくことも大切かもしれません。人類は過去、いまよりもずっと少ない社会保証の財源で、人生をやりくしてきたのです。これから日本が経験するのは、ある意味で、そうした過去に戻るということでもあります。
※参考文献
・YomiDr., 『「介護予防」から撤退する事業所、4割の自治体に』, 2018年5月15日
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